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哺乳類では、メラトニン分泌パターンを介して母親から胎児へ光周期情報が伝達される

Pattern of Melatonin Secretion Mediates Transfer of Photoperiod Information from Mother to Fetus in Mammals

Perspectives

Sci. STKE, Vol. 2003, Issue 192, pp. pe29, 22 July 2003
[DOI: 10.1126/stke.2003.192.pe29]

Bruce D. Goldman*

Department of Physiology and Neurobiology, University of Connecticut, U-4156, Storrs, CT 06269, USA.
*Contact information. E-mail,goldman@oracle.pnb.uconn.edu.

要約 : 過去20年間にわたって行われた研究より、げっ歯類の母親は発生中の胎児に光周期に関する情報を提供できることが明らかになった。哺乳類の成獣では、松果体のメラトニン分泌パターンが日長の変化に応じて変化し、このメラトニン分泌パターンが光周期機構の重要な部分となっている。メラトニンは胎盤を通過し、げっ歯類の胎児は母親のメラトニンリズムに反応できる。このように、母親のメラトニンリズムにより、胎児に日長情報が提供され、この情報が生後得られる光周期情報と共に用いられることで、幼若期の発達が影響を受ける。母親から胎児への光周期情報の伝達は、適応システムの一部かもしれない。春や夏の繁殖期の初めに生まれた子供の場合、胎児期に比べて出生後の日長が長くなることで、性成熟が早まり、同じ繁殖期の終わりにはこれらの早生まれの動物が繁殖できるようになる。反対に、繁殖期の終わりに生まれた子供の場合、胎児期に比べて出生後の日長が短くなることで、生殖腺の発達が遅れ、翌年の繁殖期の初めまで繁殖が遅れる。

B. D. Goldman, Pattern of Melatonin Secretion Mediates Transfer of Photoperiod Information from Mother to Fetus in Mammals. Sci. STKE 2003, pe29 (2003).

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