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逆活性薬(inverse agonists):Gタンパク質共役受容体のリガンド特異的な高次構造を解明する道具

Inverse Agonists: Tools to Reveal Ligand-Specific Conformations of G Protein-Coupled Receptors

Perspectives

Sci. STKE, Vol. 2004, Issue 215, pp. pe1, 13 January 2004
[DOI: 10.1126/stke.2152004pe1]

Paul L. Prather*

Department of Pharmacology and Toxicology, Mail Slot 611, College of Medicine, University of Arkansas for Medical Sciences, 4301 West Markham Street, Little Rock, AR 72205, USA.
*Contact information. Telephone, (501)-686-5512; fax, (501)-686-5521; e-mail, pratherpaull@uams.edu

要約 : Gタンパク質共役受容体(GPCR)は細胞膜を7回貫通しており、Gタンパク質との相互作用を通して細胞内への作用を生み出す。活性薬(アゴニスト)、遮断薬(アンタゴニスト)、逆活性薬(インバースアゴニスト)の3種類のリガンドがGPCRに結合し、その活性を制御する。GPCRにおけるこれらのリガンドの活性を説明するために、受容体が不活性(R)状態と活性(R*)状態の平衡を保って存在しているという2つの状態の受容体モデルが提唱されている。活性薬は活性(R*)状態の受容体に選択的に結合して安定化させる。その結果、活性型受容体の割合が増え、受容体活性が亢進する。反対に、逆活性薬は不活性(R)状態にある受容体に選択的に結合して安定化させ、その結果、不活性型受容体の割合が増え、自発的な受容体活性が低下する。中立的な遮断薬はR状態とR*状態に対する選択性が等しく、固有の作用がなく、活性薬または逆活性薬によって生み出された作用を遮断することができる。GbahouらとAzziらによる最近の2つの論文に報告された面白い観察結果は、一部の逆活性薬が恒常的な受容体活性を抑制することによって活性薬に反して作用するだけでなく、独特のシグナル伝達カスケードも開始させる可能性があることを示唆している。具体的には、これらの独特なリガンドは数種の異なる活性型の受容体高次構造を増やすことができ、それぞれが別々の細胞内エフェクターの制御に選択性を示すと提唱されている。このことから、逆活性薬は単なる「活性薬の逆」ではなく、GPCRのリガンド特異的な高次構造を検討する有用な手段となりうることが示唆される。

P. L. Prather, Inverse Agonists: Tools to Reveal Ligand-Specific Conformations of G Protein?Coupled Receptors. Sci. STKE 2004, pe1 (2004).

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