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氷点付近における微生物の低温ショック応答と適応
Cold Shock Response and Adaptation at Near-Freezing Temperature in Microorganisms
Sci. STKE, Vol. 2004, Issue 237, pp. pe26,
15 June 2004
[DOI: 10.1126/stke.2372004pe26]
Masayori Inouye* and Sangita Phadtare
Robert Wood Johnson Medical School, Department of Biochemistry, 675 Hoes Lane, Piscataway, NJ 08854, USA.*Corresponding author. E-mail: inouye@rwja.umdnj.edu
要約 : 急激な温度変化に自然に遭遇する微生物は、これらの変化に応答し適応するための戦略を発達させなければならない。大腸菌(Escherichia coli)は、動物体内の暖かい温度とより低い周囲温度の双方で生存するように適応しており、膜脂質の組成を調節し、転写や翻訳に必要な「RNAシャペロン」として機能するタンパク質およびリボソームの集合を促進するタンパク質の産生を増加させることによって、低温(10〜15℃)に応答する。一方、酵母はより低い温度に適応しており、30℃から10℃への温度変化後には比較的わずかな低温ショック応答しか示さないが、氷点あるいは氷点付近の温度に曝されると、トレハロースおよび熱ショックタンパク質の合成を著しく増加させて応答する。これにより、さまざまな微生物群はそれぞれ異なった型の低温ショック応答を示すという事実が強調される。
M. Inouye, S. Phadtare, Cold Shock Response and Adaptation at Near-Freezing Temperature in Microorganisms. Sci. STKE 2004, pe26 (2004).