TRAF2:諸刃の剣?

TRAF2: A Double-Edged Sword?

Perspectives

Sci. STKE, Vol. 2005, Issue 272, pp. pe7, 22 February 2005
[DOI: 10.1126/stke.2722005pe7]

Zong-Ping Xia and Zhijian J. Chen*

Department of Molecular Biology, University of Texas Southwestern Medical Center, Dallas, TX 75390?9148, USA.
*Corresponding author. E-mail: zhijian.chen@utsouthwestern.edu

要約 : ユビキチン化は、タンパク質をプロテアソームによる分解に向かわせる役割を果たすことが最もよく知られているが、ユビキチンのタンパク質分解以外の機能に関する証拠もまた急速に蓄積しつつある。腫瘍壊死因子(TNF)受容体結合因子(TRAF)タンパク質に関する研究からは、ユビキチンのタンパク質分解機能ではなく制御機能の1例が得られている。TRAFタンパク質はユビキチンリガーゼとして働き、63番目のリシン(K63)に結合した型のポリユビキチン鎖を合成して、プロテアソームとは独立した機構によってプロテインキナーゼの活性化を仲介する。最近では、TRAF2やTRAF3などの一部のTRAFタンパク質が、IκBキナーゼβ(IKKβ)を介して核因子κB(NF-κB)を活性化する標準的な経路においては正の役割を果たすが、IKKaを介してNF-κBを活性化する非標準的な経路においては負の役割を果たすことが示されている。このようなTRAFタンパク質の相反する役割は、異なった型のポリユビキチン鎖を合成する能力に関連している可能性がある。実際に、TRAF2相互作用タンパク質のRIPは、K63ポリユビキチン鎖によって修飾されるとIKKの活性化を仲介し得るが、NF-κB阻害因子のA20によってK48-ポリユビキチン化されるとプロテアソームによる分解に向かう。このようにユビキチン鎖は、きわめてさまざまな経路でシグナル伝達の結果に影響を及ぼし得る動的なスイッチである。

Z.-P. Xia, Z. J. Chen, TRAF2: A Double-Edged Sword?. Sci. STKE 2005, pe7 (2005).

英文原文をご覧になりたい方はScience Signaling オリジナルサイトをご覧下さい

英語原文を見る

バックナンバー一覧へ