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DNA損傷と腫瘍の監視:2つの経路への1つの引き金

DNA Damage and Tumor Surveillance: One Trigger for Two Pathways

Perspectives

Sci. STKE, Vol. 2006, Issue 317, pp. pe2, 10 January 2006
[DOI: 10.1126/stke.3172006pe2]

Petter Hoglund*

Microbiology and Tumor Biology Center, Karolinska Institutet, Stockholm, Sweden
*Corresponding author. E-mail, petter.hoglund@mtc.ki.se

要約 : 生物の進化によって、生命にとって極めて重要な細胞内プロセスの機能不全を防ぐために複数のバックアップ機構が常に存在するようになっている。この考えは、癌の発生防止を目的とするプロセスに当てはまる。最近の研究から、形質転換に対する最も早い細胞応答の1つとして活性化されるDNA損傷反応が、2つの独立した腫瘍監視機構を誘導する可能性が示唆される。1つ目は、最もよく知られているアポトーシス誘導分子p53の活性化と引き続く細胞の自殺である。2つ目は、最近の研究で報告された免疫受容体NKG2Dを活性化するリガンドの発現誘導である。DNA損傷が2つの独立した腫瘍監視反応を誘導することは、初期の腫瘍形成に対する効率的な保護を確保するために、一方の腫瘍監視機構が他方の腫瘍監視機構をいかに助けるかを示している。この結果はまた、癌の免疫監視理論を支持し、免疫監視が腫瘍形成のごく初期段階に作動する可能性があることを示唆するものである。

P. Hoglund, DNA Damage and Tumor Surveillance: One Trigger for Two Pathways. Sci. STKE 2006, pe2 (2006).

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