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機能する脳におけるレチノイン酸シグナル伝達

Retinoic Acid Signaling in the Functioning Brain

Perspectives

Sci. STKE, Vol. 2006,Issue 324, pp. pe10, 28 February 2006
[DOI: 10.1126/stke.3242006pe10]

Ursula C. Drager*

Eunice Kennedy Shriver Center, University of Massachusetts Medical School, Waltham, MA 02452, USA.
*Contact information. Telephone, 781-642-0174; e-mail, Ursula.Drager@umassmed.edu

要約 : ビタミンAの活性型であるレチノイン酸は、からだ全体の遺伝子発現を調節しており、レチノイン酸が作用するためのシグナル伝達系の要素の多くは脳に存在する。しかし、レチノイン酸が神経生物学的な系においてどのように機能するのかはほとんどわかっていない。複数の研究から、レチノイン酸が睡眠、学習、記憶に役割を果たすという証拠が得られているが、レチノイン酸がこれらのプロセスに影響を与える正確な機構は不明なままである。これらのすべてのプロセスには、局所的な阻害または遠隔阻害、および脳内の離れた部位の間の同期した神経活動が関与している。皮質ニューロンの同期した発火(皮質の同期性)を生み出すのに重要な要素は、パルブアルブミンを含む抑制性の介在ニューロンのネットワークであり、これは、過剰量のビタミンAへの曝露といったレチノイドの撹乱によって影響を受ける細胞集団である。正常な脳機能におけるレチノイドの役割を理解することにより、遺伝的因子と環境因子の両方が関与する因果関係が不明瞭ないくつかの脳疾患の発症に、レチノイン酸シグナル伝達の異常が寄与しているか否かという長年の疑問に対する手がかりが得られるかもしれない。

U. C. Drager, Retinoic Acid Signaling in the Functioning Brain.Sci. STKE 2006, pe10 (2006).

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