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TRPイオンチャネルの温度によるゲート開閉:思索のための食物?

Thermal Gating of TRP Ion Channels: Food for Thought?

Perspectives

Sci. STKE, Vol. 2006, Issue 326, pp. pe12, 14 March 2006
[DOI: 10.1126/stke.3262006pe12]

Emily R. Liman*

Department of Biological Sciences and Program in Neuroscience, University of Southern California, 3641 Watt Way, Los Angeles, CA 90089, USA .
*Corresponding author. E-mail, liman@usc.edu

要約 : 一過性受容体電位(transient receptor potential: TRP)イオンチャネルファミリーのメンバーは、温度感覚および味覚などの多様な感覚様式に関与している。「熱性TRP (thermo-TRP)」の中には、TRPV1のように高温で活性化されるものがあるのに対して、TRPM8のように低温で活性化されるものもある。これらの関連するチャネルに対するこのように強力で相反する効果は、温度によっていかにもたらされるのであろうか? 構造レベルでは、この疑問に対する答えはわからないが、TRPチャネルの異なる温度感受性を説明する的確な生物物理学的モデルが提唱されている。このモデルでは、温度は、TRPV1とTRPM8の固有の弱い電位感受性を反対方向に変化させることで作用し、高温ではTRPV1の開口を促進し、低温ではTRPM8の開口を促進すると仮定されている。TRPM8と遠縁のTRPM5は、甘み、苦み、旨みの味覚に必須の味覚細胞に発現するCa2+活性化陽イオンチャネルである。TRPM5は、TRPV1やTRPM8のように、電位に対して弱い感受性があることから、温度感受性でもあると考えられる。最近の報告では、TRPM5の活性が高温で上昇することが示されていることから、推定上の味覚伝達チャネルの機能を直接修飾することにより、熱が味覚の認識を亢進する可能性が示唆される。

E. R. Liman, Thermal Gating of TRP Ion Channels: Food for Thought?. Sci. STKE 2006, pe12 (2006).

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