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NMDA受容体活性のD‐セリン制御

D-Serine Regulation of NMDA Receptor Activity

Perspectives

Sci. STKE, Vol. 2006, Issue 356, p. pe41, 10 October 2006
[DOI: 10.1126/stke.3562006pe41]

Herman Wolosker*

Department of Biochemistry, B. Rappaport Faculty of Medicine, Technion-Israel Institute of Technology, Haifa 31096, Israel.
E-mail: hwolosker@tx.technion.ac.il

要約 : N‐メチル‐D‐アスパラギン酸型グルタミン酸受容体(NMDAR)は、脳発生やシナプス可塑性、学習などの神経系に関する複数の重要な過程において、主要な役割を担う。個々の神経伝達物質により活性化される他の神経伝達物質受容体とは異なり、NMDARの活性化には、グルタミン酸に加えて共アゴニスト(D‐セリンやグリシン)の結合が必要である。これまで「非天然型」アミノ酸であると考えられてきたが、D‐セリンはNMDAR活性の主要制御因子であり、共アゴニスト部位における主な生理学的リガンドである可能性がある。D‐セリンは、哺乳類の脳において合成され、脳のシナプスを覆うグリア細胞の一種であるアストロサイトに豊富に存在する。アストロサイトは、D‐セリンを放出することでNMDAR神経伝達に生理学的に影響するため、D‐セリンはグリア伝達物質として作用すると考えられる。ところが、D‐セリンとその生合成酵素も大量にニューロンに含まれていることから、最近の研究結果により、D‐セリンのシグナル伝達はグリアだけに依存するのではないことが示されている。今回は、D‐セリンのシグナル伝達におけるグリアとニューロンの相対的役割を解明し始めた、これらの新たな研究結果について論じる。

H. Wolosker, D-Serine Regulation of NMDA Receptor Activity. Sci. STKE 2006, pe41 (2006).

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