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胚発生におけるパターンの出現:ウニの初期発生におけるβ-カテニンの局在の調節

The Emergence of Pattern in Embryogenesis: Regulation of β-Catenin Localization During Early Sea Urchin Development

Perspectives

Sci. STKE,14 November 2006 Vol. 2006, Issue 361, p. pe48
[DOI: 10.1126/stke.3612006pe48]

Charles A. Ettensohn

Department of Biological Sciences, Carnegie Mellon University, Pittsburgh, PA 15213, USA.
*Corresponding author. E-mail, ettensohn@andrew.cmu.edu

要約 : β-カテニンが初期胚の一方の極に存在する割球の核に蓄積する現象は、動物発生において高度に保存された不可欠な特徴である。ウニでは、β-カテニンが卵割初期に植物極側割球の核に蓄積し、中胚葉と内胚葉の形成を促進する遺伝子調節ネットワークを活性化する。in vivoでの半減期を測定した研究により、動植物軸に沿ってβ-カテニンの安定性に勾配があることが証明されている。β-カテニンの代謝回転を調節するタンパク質であるDishevelled(Dsh)は植物極表層に局在し、そこでβ-カテニンの安定化と内中胚葉の遺伝子ネットワークの活性化に重要な役割を果たす。植物極表層へのターゲッティングには、Dshの2つのモチーフが必要である。動物極側割球でのDshの過剰発現によっては割球の運命は変わることはない。このことから、これらの細胞には局在化したDshの活性化因子が存在しない可能性が示唆される。Wntシグナル伝達は、アフリカツメガエル(Xenopus)の場合と同様に、ウニ初期胚中で局在化している可能性があるが、両生類と棘皮動物は初期の極性化シグナルが異なる可能性が研究結果から指摘されている。胚発生初期にβ-カテニンの核局在を制御する機構が、動物の進化過程でどの程度保存されているのかを検討するためにさらなる研究が必要である。

C. A. Ettensohn, The Emergence of Pattern in Embryogenesis: Regulation of β-Catenin Localization During Early Sea Urchin Development. Sci. STKE 2006, pe48 (2006).

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