• ホーム
  • 自家不和合性ポピーにおける花粉−雌蕊シグナル伝達:雌蕊におけるより効率的な資源配分を可能にするか?

自家不和合性ポピーにおける花粉−雌蕊シグナル伝達:雌蕊におけるより効率的な資源配分を可能にするか?

Pollen-Pistil Signaling in Self-Incompatible Poppy: Does It Allow More Efficient Resource Allocation in the Pistil?

Perspectives

Sci. STKE, 24 April 2007 Vol. 2007, Issue 383, p. pe17
[DOI: 10.1126/stke.3832007pe17]

Bruce McClure*

Division of Biochemistry, Christopher S. Bond Life Sciences Center, University of Missouri, Columbia, 240a 1201 East Rollins Street, Columbia, MO 65211, USA.
*Contact information. Telephone, 573-882-3932; e-mail, mcclureb@missouri.edu

要約 : 受粉の過程において、一倍体の花粉は柱頭表面で出芽し、花粉管が雌蕊の二倍体の組織内を子房に向かって伸長する。雌蕊には、(1)望ましくない花粉が子房に近づくのを防ぐ、(2)望ましい花粉の成長を助ける、という2つの基本的な機能がある。花粉−雌蕊シグナル伝達により、これらの異なる種類の花粉を区別することができるようになっている。S遺伝子座によって制御されている自家不和合性(SI)機構は、最もよく理解されている花粉−雌蕊シグナル伝達機構である。他のSI機構も分子レベルで検討されてきたが、花粉管拒絶の生理学はヒナゲシ(Papaver rhoeas)で最も理解が進んでいる。この種は配偶体型のSI機構をもち、花粉のSハプロタイプが、二倍体の雌蕊に発現している2つのSハプロタイプのいずれかと同じであれば、花粉が拒絶される。最近の進歩から、SIが花粉管代謝を制御する新しい方法が明らかにされている。可溶性ピロホスファターゼは、急速SI反応の一環としてダウンレギュレートされ、長期的には、アクチン細胞骨格の制御阻害が不和合性の花粉管におけるプログラムされた細胞死をもたらす。不和合性の花粉管の代謝をこのように操作することで、雌蕊の補完的な機能である、和合性の花粉管の伸長促進に用いることができる資源をより多く残せるかもしれない。

B. McClure, Pollen-Pistil Signaling in Self-Incompatible Poppy: Does It Allow More Efficient Resource Allocation in the Pistil? Sci. STKE 2007, pe17 (2007).

英文原文をご覧になりたい方はScience Signaling オリジナルサイトをご覧下さい

英語原文を見る

バックナンバー一覧へ