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RIG-IとLGP2によるインターフェロン産生の調節:自己制御の教訓

Regulation of Interferon Production by RIG-I and LGP2: A Lesson in Self-Control

Perspectives

Sci. STKE, 1 May 2007 Vol. 2007, Issue 384, p. pe20
[DOI: 10.1126/stke.3842007pe20]

Damien Vitour and Eliane F. Meurs*

Hepacivirus Unit, Pasteur Institute, Paris Cedex 15, France
*Corresponding author: Address, Unit Hepacivirus, Department Virology, Institut Pasteur, 28 rue du Dr Roux, 75724 Paris Cedex 15, France; telephone, (33) 1 45 68 87 77; fax, (33) 1 40 61 30 12; e-mail, emeurs@pasteur.fr

要約 : 細胞質にあるCARD含有DExD/HボックスRNAヘリカーゼのRIG-IとMDA5は、ウイルス二本鎖(ds)RNAを認識することにより、ウイルス感染のセンサーとして働く。これらは、いずれもホモタイプのCARD-CARD相互作用を介して、ミトコンドリアのアダプターIPS-1(MAVS、VISA、CARDIFとも呼ばれる)と会合する。次に、IPS-1は、自然免疫応答の必須成分の一つであるインターフェロン(IFN)の合成に関与する主要転写因子IRF3のリン酸化を担うプロテインキナーゼTBK1、IKKεの活性化などのシグナル伝達経路を誘発する。RIG-Iは、CARDドメインとRNAヘリカーゼドメインの両方と結合することにより、シスに作用して多量体化やIPS-1との相互作用を制御する内部リプレッサードメイン(RD)を介して、dsRNA非存在下での自己抑制状態を保つ。RDの異所性発現は、シグナル伝達を阻害し、C型肝炎ウイルスなどのウイルスに対する細胞寛容性を増加させる。RIG-I・MDA5ファミリーのもうひとつのDExD/H RNAヘリカーゼであり、CARDドメインを欠損するLGP2は、dsRNAを隔離し、RIG-I RDに類似するドメインを介してRIG-Iの多量体化をトランスに阻害し、IPS-1上の共通相互作用部位に関してプロテインキナーゼIKKεと競合することにより、IFN誘導を異なるレベルで負に制御する。IFN合成の最も初期の段階においてRIG-IとLGP2がこのようなフィードバック制御を行なう能力によって、細胞が自然免疫応答の誘導を厳密にすることが可能になる。

D. Vitour, E. F. Meurs, Regulation of Interferon Production by RIG-I and LGP2: A Lesson in Self-Control. Sci. STKE 2007, pe20 (2007).

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