書評:植物の遺伝子発現

Book Review: Plant Gene Expression

Perspectives

Sci. STKE, 22 May 2007 Vol. 2007, Issue 387, p. pe26
[DOI: 10.1126/stke.3872007pe26]

Alan Rose*

Molecular and Cellular Biology, University of California, Davis, CA 95616, USA.
Review and commentary on Regulation of Gene Expression in Plants: The Role of Transcript Structure and Processing, edited by Carole L. Bassett. Springer, New York, 2007, 204 pp. $129, ISBN: 978-0-387-35449-1.
E-mail: abrose@ucdavis.edu

要約 : 多くの重要な生物学的発見が植物を用いてなされてきたのに対して、植物研究の一部の分野におけるその後の進展は、資金援助やin vitroアッセイがより利用しやすい他の生物よりも遅れている。遺伝子発現は、そのような分野の1つであるが、包括的な問題に対する植物バイオテクノロジーに基づく解決策は、特定遺伝子の発現調節が前提となっていることから、その重要性はますます高まっている。ゲノミクス、遺伝学、形質転換技術が最近進歩したことから、植物における遺伝子発現の検討の際のこれまでの限界が部分的に緩和された。Carole L. Bassett編集の書籍「植物における遺伝子発現の調節:転写産物の構造およびプロセッシングの役割(Regulation of Gene Expression in Plants: The Role of Transcript Structure and Processing)」は、植物の遺伝子発現に関する現時点での理解について、転写調節および転写後調節に重点をおいてまとめたものである。6つの章で扱われている主題は、転写開始部位およびポリアデニル化部位の違いがもたらすメッセンジャーRNA(mRNA)構造の相違、選択的スプライシング、小RNA(small RNA)による調節、およびmRNAの輸送と分解である。各章は、知識の高度さ、質、一般的な真核生物よりも植物に重点を置いている程度が異なる。しかし、この小冊子は、植物の遺伝子発現に関する有用なレビューである。mRNA構造の相違がいずれも機能的重要性をもつかどうかという疑問はまだ解決されていない。

A. Rose, Book Review: Plant Gene Expression. Sci. STKE 2007, pe26 (2007).

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