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IL-33:オオカミの皮をかぶった羊?

IL-33: A Sheep in Wolf’s Clothing?

Perspectives

Sci. STKE, 12 June 2007 Vol. 2007, Issue 390, p. pe31
[DOI: 10.1126/stke.3902007pe31]

Massimo Gadina1* and Caroline A. Jefferies2

1Division of Infection and Immunity, Centre for Cancer Research and Cell Biology, Queen’s University Belfast, BT9 7BL, UK.
2Molecular and Cellular Therapeutics, Royal College of Surgeons in Ireland, Dublin 2, Ireland.
*Corresponding author. E-mail: m.g.gadina@qub.ac.uk

要約 : サイトカインは、特定の細胞表面受容体に結合して細胞応答を活性化することによって、細胞間の情報伝達を調節する可溶性因子である。しかし、ほんの一群のサイトカインは、分泌されることなく、イントラクライン(細胞内分泌)に作用することが知られている。これらの分子は核内に入り、核内のコアクチベーターまたはリプレッサーと結合することによって遺伝子の転写を調節する。IL-1およびIL-18と配列および構造の類似性が高いインターロイキン-33(IL-33)は、この種の「ダブルエージェント(二重活性物質)」の一員として同定された。しかし、IL-33の活性は、炎症誘発性分子であるIL-1aやHMBG1(high-mobility group box 1)といった他の二重活性分子と逆であると考えられる。可溶性IL-33は、Toll-インターロイキン1(IL-1)受容体(TIR)ドメイン含有受容体ST2と結合し、Tヘルパー2(Th2)免疫調節活性を有する。また、ST2は、TLRアダプター分子MyD88およびMalを隔離することによってToll様受容体(TLR)の活性を阻害する。HMBG1受容体はTLRと対をなし、感染に対する応答の誘導を助けることから、TLRの共受容体として働くST2が、病原体に対する免疫応答を調節し、おそらく制限する可能性が考えられる。IL-33の核内標的はまだ明らかになっていないが、炎症組織におけるIL-33の発現、核内リプレッサー活性、ST2の競合活性から、IL-33は、IL-1のような因子の活性と逆に、炎症を軽減する可能性があることが示唆される。もしこれが真実であれば、IL-33は、自己免疫疾患および炎症性疾患における新規治療薬として有望である。

M. Gadina, C. A. Jefferies, IL-33: A Sheep in Wolf’s Clothing? Sci. STKE 2007, pe31 (2007).

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