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重要な癌キノームの特定における課題と可能性
Challenges and Opportunities in Defining the Essential Cancer Kinome
Sci. Signal., 24 March 2009
Vol. 2, Issue 63, p. pe15
[DOI: 10.1126/scisignal.263pe15]
Brendan D. Manning*
Department of Genetics and Complex Diseases, Harvard School of Public Health, Boston, MA 02115, USA.* Contact information. E-mail, bmanning@hsph.harvard.edu
要約 : プロテインキナーゼによって調節されるシグナル伝達経路は、ヒト疾患の大部分の根底をなし、あらゆる形状の癌の発達と進行に関与する。癌および他の疾病の治療を目的とする標的治療ストラテジーでは、もっぱらプロテインキナーゼのみが注目され、ヒトキノーム全体を見ずに、この小さな部分ばかりを見る傾向が強い。プロテインキナーゼ要求性を調べたRNA干渉(RNAi)スクリーニングでは、各癌細胞株間で特定のプロテインキナーゼに対する依存性に驚くほど高度な多様性が認められた。また、癌細胞株の増殖および生存にとってもっとも重要なプロテインキナーゼのなかには、ほとんど研究されていないものもあることが、このスクリーニングによって示された。癌の治療を目的とする治療ストラテジーを考えるにあたっては、癌遺伝子依存は強力な概念であるが、先入観のない、キノーム特異的でゲノムワイドなRNAiスクリーニングは、将来の治療介入となり得る未開拓領域を明らかにしつつある。
B. D. Manning, Challenges and Opportunities in Defining the Essential Cancer Kinome. Sci. Signal. 2, pe15 (2009).