• ホーム
  • アポトーシス:アポトソーム活性の招集時間

アポトーシス:アポトソーム活性の招集時間

Apoptosis: Calling Time on Apoptosome Activity

Perspectives

Sci. Signal., 6 October 2009
Vol. 2, Issue 91, p. pe62
[DOI: 10.1126/scisignal.291pe62]

Colin Adrain1 and Seamus J. Martin2*

1 Medical Research Council Laboratory of Molecular Biology, Hills Road, Cambridge, CB2 0QH, UK.
2 Molecular Cell Biology Laboratory, Department of Genetics, The Smurfit Institute, Trinity College, Dublin 2, Ireland.
* Corresponding author. E-mail, martinsj@tcd.ie

要約 : アポトーシスは、制御された型の細胞破壊であり、カスパーゼと呼ばれるシステインプロテアーゼのファミリーによって触媒される。アポトーシスを促進する多様な刺激に応答して、アポトソーム(apoptosome)と呼ばれるオリゴマー複合体の内部において、カスパーゼ-9が動員されて活性化される。アポトソームは、カスパーゼ-9の自己触媒的プロセシングを引き起こすことによってタンパク質分解性のカスパーゼカスケードを開始させ、その結果、細胞死の特徴である生化学的および形態的変化をもたらす。アポトソームへ動員後に、カスパーゼ-9がぜ自己触媒的プロセシングを受けるのかは明らかでない。というのも、カスパーゼ-9活性にはドメイン間のプロセシングは必要ではないからである。ある研究から、アポトソーム内でのカスパーゼ-9のプロセシングが、複合体からの解離を促進し、このプロテアーゼの不活性化をもたらすことが実証され、この問題に解決に光が差した。このように、アポトソームにおけるカスパーゼ-9の自己プロセシングは、結合したカスパーゼ-9分子を解離させることで、複合体のタンパク質分解活性を制限する「分子タイマー」として働く。このタイマー機構は、特定の時間枠内に十分な数のアポトソームが集積しない条件下で、少量のアポトソーム活性化が制御不能に急増するのを防いでいるのかもしれない。十分な数のアポトソームが集まって初めてカスパーゼの本格的な活性化とアポトーシスが誘導されると考えられる。

C. Adrain, S. J. Martin, Apoptosis: Calling Time on Apoptosome Activity. Sci. Signal. 2, pe62 (2009).

英文原文をご覧になりたい方はScience Signaling オリジナルサイトをご覧下さい

英語原文を見る

バックナンバー一覧へ