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PKM2のチロシンリン酸化とグルタミン代謝がワールブルク効果の別の見方を提示する

PKM2 Tyrosine Phosphorylation and Glutamine Metabolism Signal a Different View of the Warburg Effect

Perspectives

Sci. Signal., 17 November 2009
Vol. 2, Issue 97, p. pe75
[DOI: 10.1126/scisignal.297pe75]

Chi V. Dang*

Division of Hematology, Department of Medicine, Johns Hopkins University School of Medicine, Baltimore, MD 21205, USA.
* Corresponding author. E-mail, cvdang@jhmi.edu

要約 : チロシンキナーゼである線維芽細胞成長因子受容体1(FGFR1)が、ピルビン酸キナーゼM2(PKM2)を直接リン酸化し、その結果としてホスホエノールピルビン酸のピルビン酸への変換が低下することを示唆する新たな証拠がある。ピルビン酸は乳酸デヒドロゲナーゼAによってさらに乳酸へと代謝される。重要なチロシン残基Tyr105がPheに変異すると、PKM2は野生型に比べてより活性になったが、細胞内乳酸産生が減少し、酸素消費量が増大し、低酸素での細胞増殖が低下した。PKM2活性を亢進させるよりむしろ低下させるこのチロシンリン酸化を介する増殖シグナル伝達の一見矛盾する作用は、ワールブルク効果の見方に修正を加える。グルコースを乳酸に高率で変換するというがん細胞の性質について記述するこの効果は、今やがん細胞における解糖、トリカルボン酸回路およびグルタミン代謝の相互連携を取りなしているに違いない。

C. V. Dang, PKM2 Tyrosine Phosphorylation and Glutamine Metabolism Signal a Different View of the Warburg Effect. Sci. Signal. 2, pe75 (2009).

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