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脊髄損傷におけるRPTPσの新たな役割:コンドロイチン硫酸プロテオグリカンを阻害するシグナル伝達

A New Role for RPTPσ in Spinal Cord Injury: Signaling Chondroitin Sulfate Proteoglycan Inhibition

Perspectives

Sci. Signal., 23 February 2010
Vol. 3, Issue 110, p. pe6
[DOI: 10.1126/scisignal.3110pe6]

Yuntao Duan and Roman J. Giger*

Department of Cell and Developmental Biology and Department of Neurology, University of Michigan School of Medicine, Ann Arbor, MI 48109, USA.

* Corresponding author. E-mail, rgiger@umich.edu

要約:コンドロイチン硫酸プロテオグリカン(CSPG)が軸索の伸長および再生を抑制することは20年以上も前 から知られている。成体神経系において、CSPGは神経細胞周囲網に蓄積し、その存在量は脳あるいは脊髄の損傷後に反応性アストロサイトで増大する。細菌 酵素コンドロイチナーゼABC(ChaseABC)の局所注入によるコンドロイチン硫酸(CS)の糖鎖の分解は、成体視覚野における経験依存的ニューロン 可塑性を促進し、脊髄損傷(SCI)後の行動転帰を大幅に改善する。ChaseABC処置のニューロン可塑性に対する正の効果は以前から知られていたが、 その根底にある機構については謎のままであった。現在では、受容体プロテインチロシンホスファターゼシグマ(RPTPσ)が抑制性CSPGの受容体である ことが確認されている。ChaseABC処置と同様に、RPTPσをコードする遺伝子のPtprsの機能的除去も、in vitroにおけるCSPG存在下での神経突起伸長を促進し、in vivoに おけるSCI後のCSPGに富む瘢痕組織への軸索伸長を促進する。抑制性CSPG受容体としてのニューロンRPTPσの発見によって、CSPG機能に関す る重要な機構的手掛かりが得られるだけでなく、神経系損傷後の軸索の伸長および可塑性の亢進の新たな標的も特定される。

Y. Duan, R. J. Giger, A New Role for RPTPσ in Spinal Cord Injury: Signaling Chondroitin Sulfate Proteoglycan Inhibition. Sci. Signal. 3, pe6 (2010).

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