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2つの受容体、2つのキナーゼ、そしてT細胞系列の決定

Two Receptors, Two Kinases, and T Cell Lineage Determination

Perspectives

Sci. Signal., 23 March 2010
Vol. 3, Issue 114, p. pe11
[DOI: 10.1126/scisignal.3114pe11]

Balbino Alarcón* and Hisse M. van Santen

Centro de Biología Molecular Severo Ochoa, Consejo Superior de Investigaciones Científicas, Universidad Autónoma de Madrid, Cantoblanco, Madrid 28049, Spain.

* Corresponding author. E-mail, balarcon@cbm.uam.es

要約:T細胞抗原受容体(TCR)は、認識されるリガンドの質において原子サイズの違いを検出することによっ て、T細胞の分化や機能の多くの側面を制御することから、膜受容体がいかにして細胞質にシグナルを伝達するのかのパラダイムとして役立つ。異なるシグナル 伝達の結果の根底にある機構ははっきりしない。リガンドに合わせた質的に異なるシグナルを提案する研究は、量的モデルを支持する証拠とは対立するが、胸腺 におけるTCRに依存するT細胞分化の研究も例外ではない。αβ TCRを有する成熟T細胞は、互いに排他的な共受容体のCD4とCD8の存在に基づいて、2つの主要な別々のサブセットに分類される。CD4とCD8は、 それぞれ主要組織適合抗原複合体(MHC)のクラスIIおよびクラスIリガンドの認識、ならびにTCR複合体へのチロシンキナーゼLckの動員において必 須の役割を果たす。成熟CD4+細胞とCD8+T細胞は、胸腺中の共通の前駆体、すなわち両方の共受容体を有する二重陽性(DP)胸腺細胞に由来する。初期のシグナル伝達モデルでは、系列決定の根底にあるのは、CD4およびCD8がLckをTCRに動員する能力の違いであることが示唆された。今回の研究は、CD8+系列への分化には、チロシンキナーゼのζ 鎖会合プロテインキナーゼ70 kD(Zap70)の存在量のTCR誘導性の増大が必要であることを示している。CD4+およびCD8+系列の決定にLckが重要であることが知られていることと合わせると、この発見から、これらの2つのキナーゼのTCRによる活性化のバランスが系列決定を確定すると提案することができる。

B. Alarcón, H. M. van Santen, Two Receptors, Two Kinases, and T Cell Lineage Determination. Sci. Signal. 3, pe11 (2010).

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