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PP2Aホスファターゼ:ブラシノステロイドシグナル伝達のオン・オフ調節スイッチ
PP2A Phosphatases: The "On-Off" Regulatory Switches of Brassinosteroid Signaling
Sci. Signal., 10 May 2011
Vol. 4, Issue 172, p. pe25
[DOI: 10.1126/scisignal.2002046]
Simone Di Rubbo1,2, Niloufer G. Irani,1,2, and Eugenia Russinova1,2*
1 Department of Plant Systems Biology, VIB, Technologiepark 927, 9052 Gent, Belgium.
2 Department of Plant Biotechnology and Genetics, Ghent University, Technologiepark 927, 9052 Gent, Belgium.
* Corresponding author. E-mail, jenny.russinova@psb.vib-ugent.be
要約:リガンド結合型細胞膜受容体の不活性化は、そのシグナル伝達の出力の調節にとって極めて重要である。活性化された受容体の細胞内移行とその後のリサイクリングまたは分解に向かうターゲッティングは、翻訳後修飾による調節を受ける。その際に、リン酸化と脱リン酸化が重要な役割を果たす。最近の研究で、同様の機構がArabidopsis thaliana(シロイヌナズナ)のブラシノステロイド(brassinosteroid:BR)受容体のBR INSENSITIVE 1(BRI1)で働き、BRシグナル伝達をオフにすることが示唆された。BRI1の分解には、プロテインホスファターゼ2A(protein phosphatase 2A:PP2A)に媒介される脱リン酸化が必要であり、この脱リン酸化は膜上のロイシンカルボキシメチルトランスフェラーゼによるホスファターゼのメチル化によって規定される。また、PP2Aは、BRシグナル伝達において、BRI1の下流構成要素である転写因子BRASSINAZOLE-RESISTANT 1(BZR1)をターゲッティングさせることによって正に作用することも報告されている。このように、PP2Aタンパク質は、基質の特異性と局在に依存して、BR経路の調節において二重の役割を果たし、BRシグナル伝達の抑制と活性化のスイッチを切り替える。
S. Di Rubbo, N. G. Irani,, E. Russinova, PP2A Phosphatases: The "On-Off" Regulatory Switches of Brassinosteroid Signaling. Sci. Signal. 4, pe25 (2011).