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がん細胞はEph-エフリン系を利用して浸潤と転移を促進する:見知らぬ相棒の物語

Cancer Cells Exploit the Eph-Ephrin System to Promote Invasion and Metastasis: Tales of Unwitting Partners

Perspectives

Sci. Signal., 31 May 2011
Vol. 4, Issue 175, p. pe28
[DOI: 10.1126/scisignal.2002153]

Bingcheng Wang*

Rammelkamp Center for Research and Department of Medicine, MetroHealth Campus; and Department of Pharmacology and Case Comprehensive Cancer Center, Case Western Reserve University School of Medicine, 2500 MetroHealth Drive, Cleveland, OH 44109, USA.

* Corresponding author. Telephone, +1-216-778-4256 begin_of_the_skype_highlighting
+1-216-778-4256 end_of_the_skype_highlighting; fax, +1-216-778-4321; e-mail, bxw14@case.edu

要約:受容体型チロシンキナーゼのEphサブファミリーとその膜結合型リガンドのエフリンは、接触型細胞間シグナル伝達を媒介し、細胞移動および組織パターン形成の幅広い調節因子である。腫瘍が進行する際にがん細胞がしばしば利用する。新たに得られた証拠によって、前立腺がん細胞が、EphA2とEphA4受容体およびエフリン-Aを利用して、移動運動のホモタイプな接触阻止を媒介する一方で、EphB3とEphB4受容体を介して間質細胞上のエフリン-B2を利用して、移動を促進することが示された。このような過程によって、がん細胞の原発腫瘤からの拡散が亢進し、間質を通るスムーズな移動と浸潤が促進される可能性がある。この結果は、正常組織内では腫瘍抑制因子としての役割が多く報告されているEph受容体ではあるが、がん原タンパク質へと転換されるという別の例があることを示している。

B. Wang, Cancer Cells Exploit the Eph-Ephrin System to Promote Invasion and Metastasis: Tales of Unwitting Partners. Sci. Signal. 4, pe28 (2011).

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