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GPCRシグナル伝達指令メカニズムとしてのリン酸化バーコード化

Phosphorylation Barcoding as a Mechanism of Directing GPCR Signaling

Perspectives

Sci. Signal., 9 August 2011
Vol. 4, Issue 185, p. pe36
[DOI: 10.1126/scisignal.2002331]

Stephen B. Liggett*

Cardiopulmonary Genomics Program, Departments of Medicine and Physiology, University of Maryland School of Medicine, Baltimore, MD 21201, USA.

* Corresponding author. E-mail, sligg001@umaryland.edu

要約:Gタンパク共役受容体(GPCR)が細胞型依存的、Gタンパク質非依存的にシグナル伝 達する統一メカニズムが、過去10年間にわたって解明されてきた。GPCRキナーゼ(GRK)は同種脱感作のメディエーターであり、同受容体のGRKリン 酸化が生じると、続いて、β-アレスチン結合が生じ、Gタンパク質と共役する受容体を部分的に失活させる。一部受容体では、このGRK媒介リン酸化がβ- アレスチンの足場作用を介して、さらなるシグナル伝達を刺激する。これらの下流シグナルは、受容体上のGRKホスホアクセプターによってバーコード方式で 決定されているβ-アレスチン構造によって構成されている。また、各GRKは、ある受容体上の異なるセリンおよびスレオニン残基をリン酸化し得る可能性が あり、リン酸化パターンは結合リガンドによって決定される受容体構造によって偏る可能性がある。推定GRKリン酸化部位の配列、またそれに伴うβ-アレス チン構造およびその下流シグナル伝達に対する影響は、同一アゴニストによって刺激される密接に関連したGPCR間でも大きく異なる場合がある。フレキシブ ルなβ-アレスチンのバーコード化の多様性は、スーパーファミリーにおけるシグナル伝達の多次元性を説明しており、新たな創薬の機会を提示している。

S. B. Liggett, Phosphorylation Barcoding as a Mechanism of Directing GPCR Signaling. Sci. Signal. 4, pe36 (2011).

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