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脱AMP化による脱マスク:宿主のメンブレントラフィック(膜交通)の調節

De-AMPylation Unmasked: Modulation of Host Membrane Trafficking

Perspectives

Sci. Signal., 11 October 2011
Vol. 4, Issue 194, p. pe42
[DOI: 10.1126/scisignal.2002458]

Hyeilin Ham and Kim Orth*

Department of Molecular Biology, University of Texas Southwestern Medical Center, Dallas, TX 75390, USA.

* Corresponding author. E-mail, kim.orth@utsouthwestern.edu

要約:アデノシン一リン酸(adenosine monophosphate:AMP)をタンパク質基質のヒドロキシ側鎖に付加する翻訳後修飾であるAMP化は、感染の際に宿主のシグナル伝達経路を破壊するために、多くの病原性細菌によって利用されている。レジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophila)のエフェクタータンパク質SidMは、グアノシントリホスファターゼ(guanosine triphosphatase:GTPase)のRab1を標的として、宿主細胞内の小胞輸送を操作する多機能酵素である。SidMは、Rab1をLegionellaを含む液胞の膜へとリクルートし、グアニンヌクレオチド交換因子としての活性によってRab1を活性化する。そして、SidMはRab1をAMP化することによって、L. pneumophilaによって分泌されるGTPase活性化タンパク質であるLepBが介入できないような恒常的な活性型へとRab1を変換する。しかし、最終的にRab1を不活性化し、次にLegionellaを含む液胞から除去する分子機構は不明である。新たな証拠によって、その後の感染過程でRab1からAMPを除去し、LepBによるRab1の不活性化を可能にする脱AMP化酵素としてSidDが同定された。この知見は、宿主のメンブレントラフィックを調節するために特定の細菌酵素によって制御される可逆的修飾の完全な経路を示すものである。

H. Ham, K. Orth, De-AMPylation Unmasked: Modulation of Host Membrane Trafficking. Sci. Signal. 4, pe42 (2011).

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