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より大きな(ガラス船底)ボートが必要になる

You’re Going to Need a Bigger (Glass Bottom) Boat

Perspectives

Sci. Signal., 3 April 2012
Vol. 5, Issue 218, p. pe14
[DOI: 10.1126/scisignal.2002998]

Aidan J. Peterson and Michael B. O'Connor*

Department of Genetics, Cell Biology and Development, University of Minnesota, Minneapolis, MN 55455, USA.

* Corresponding author. E-mail: moconnor@umn.edu

要約:トランスフォーミング増殖因子(TGF)-βファミリーのシグナル伝達分子は、プロドメイン配列を含むプロタンパク質前駆体から産生される。これらの配列は通常は取り除かれて、成熟リガンドによるシグナル伝達を可能にする。プロドメインと共有結合したままであるが、シグナル伝達活性を保っているTGF-βファミリーリガンドが同定された。骨形成タンパク質5/6/7/8サブファミリーのショウジョウバエ(Drosophila)ホモログであるGlass bottom boat(Gbb)は、TGF-βリガンドによく見られる従来どおりのプロセシングによって産生されるプロタンパク質のカルボキシル末端フラグメント(Gbb15)として活性を有する。予想外なことに、プロドメイン内の新たに同定されたフューリン(furin)による切断部位におけるプロセシングによって産生されるより高分子量型(Gbb38)も、分泌され、活性を有する。TGF-βリガンドが活性をもつためには、プロドメイン全体が分離される必要があるという現在のパラダイムに反して、Gbb38は従来どおりの部位でさらにプロセシングされなくても、培養細胞内およびin vivoで活性を有する。この高分子量型はgbb変異体の生存能力を回復させることができるが、従来型とは異なるシグナル伝達特性を有する。1つのプロタンパク質から複数の機能性リガンドが産生される機構は、TGF-βシグナル伝達のアウトプットを微調整する可能性がある。TGF-βファミリーメンバーの変異はヒト疾患と関連があり、いくつかの変異は、プロドメインの推定フューリン切断部位に影響を与える。しかし、フューリンによるプロセシングの可能性のある部位とプロドメインの機能が多様であることを考えると、活性を有する巨大なリガンドの産生がTGF-βスーパーファミリーメンバーの一般的な特徴であるのかどうかを決定するためには、直接的な実験法が必要であろう。

A. J. Peterson, M. B. O'Connor, You're Going to Need a Bigger (Glass Bottom) Boat. Sci. Signal. 5, pe14 (2012).

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