ケージを開くAkt

Uncaging Akt

Perspectives

Sci. Signal., 8 May 2012
Vol. 5, Issue 223, p. pe20
[DOI: 10.1126/scisignal.2003085]

Sean J. Humphrey and David E. James*

Diabetes and Obesity Program, Garvan Institute of Medical Research, Darlinghurst, New South Wales 2010, Australia.

* Corresponding author. E-mail, d.james@garvan.org.au

要約:多くのシグナル伝達経路は、各構成要素の活性がリン酸化と脱リン酸化によって制御されるプロテインキナーゼカスケードから成る。今回、ヌクレオチド結合に関与するキナーゼ調節の新たな階層が明らかにされた。2つの調節部位におけるAktのリン酸化が、キナーゼの活性化において重要な役割を果たす。新たな知見は、Aktにアデノシン三リン酸(ATP)が結合すると、そのタンパク質内で、これらのリン酸化部位と他のドメインとの間で分子内相互作用が誘導され、リン酸基の周囲にケージが形成され、その部位へのホスファターゼの接近が制限されることを示している。ATPが加水分解され、基質がリン酸化されるとこのケージは開かれ、キナーゼの脱リン酸化と不活性化が可能になる。この開閉器のような機構は、プロテインキナーゼの生物学について重要で新しい洞察を提供するものである。

S. J. Humphrey, D. E. James, Uncaging Akt. Sci. Signal. 5, pe20 (2012).

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