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レドックスシグナルとしてのミトコンドリアの細胞内局在化の調節
Modulating Mitochondrial Intracellular Location as a Redox Signal
Sci. Signal., 18 September 2012
Vol. 5, Issue 242, p. pe39
[DOI: 10.1126/scisignal.2003386]
Michael P. Murphy*
Medical Research Council Mitochondrial Biology Unit, Wellcome Trust/MRC Building, Hills Road, Cambridge CB2 0XY, UK.
* Corresponding author. E-mail: mpm@mrc-mbu.camac.uk
要約:ミトコンドリアは、代謝およびアポトーシスの際の細胞運命決定において、さまざまな必須の機能を担う。さらに、ミトコンドリアは多数のシグナル伝達経路における重要なノードでもある。例えば、ミトコンドリアはカルシウムなどのセカンドメッセンジャーによって伝達されるシグナルを調節することができる。ミトコンドリアは主要な活性酸素種(ROS)源でもあるので、システイン残基を可逆的に修飾することによって標的タンパク質の活性を可逆的に修飾することが可能な過酸化水素などのROSを産生することなどによって、レドックスシグナル伝達に寄与することがある。ミトコンドリアのROS産生は、酸素感受性転写因子である低酸素誘導因子1α.を安定化することによって、低酸素シグナル伝達に関与すると考えられる。低酸素状態に対する細胞応答における興味深い、意外なミトコンドリアのレドックスシグナル伝達の機構を示す新たな証拠が得られている。低酸素状態ではミトコンドリアの微小管依存輸送が変化し、ミトコンドリアが核周辺領域に蓄積するようになり、ROSの核内濃度が上昇した。次に、増大したROSは、タンパク質を可逆的に酸化するのではなく、VEGF(血管内皮増殖因子)プロモーターの低酸素応答配列のDNA配列を酸化することによって、VEGFなどの低酸素感受性遺伝子の発現を亢進させた。本稿は、最近発表された他の研究とともに、細胞内でのミトコンドリアの再分布が調節経路の一成分であることを示唆し、ミトコンドリアシグナル伝達に新たな展開をもたらした。
M. P. Murphy, Modulating Mitochondrial Intracellular Location as a Redox Signal. Sci. Signal. 5, pe39 (2012).