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成長に対する急性および慢性ストレスの影響
The Effect of Acute and Chronic Stress on Growth
Sci. Signal., 23 October 2012
Vol.5, Issue 247, p. pt9
[DOI: 10.1126/scisignal.2003484]
Lars S?vendahl*
Department of Women's and Children's Health, Karolinska Institutet, Stockholm SE-17176, Sweden.
A Presentation from the European Society for Paediatric Endocrinology (ESPE) New Inroads to Child Health (NICHe) Conference on Stress Response and Child Health in Heraklion, Crete, Greece, 18 to 20 May 2012.
* Presenter and corresponding author. E-mail: lars.savendahl@ki.se
ストレスを受けた小児の多くに骨成長障害が見られるが、その根本原因が心理学的なものか、それとも多様な慢性障害に付随する二次的なものなのかは不明である。成長板は特に、血清中の炎症性サイトカインやコルチゾール濃度の増大や成長ホルモン(GH)‐インスリン様成長因子1(IGF-1)系作用の障害などの多様な機構を介したストレスの標的となる。コルチゾールのようなグルココルチコイドも炎症性サイトカインも、成長板における軟骨形成に対して様々な面で有害な影響を及ぼし、これらの影響は局所的なIGF-1濃度の上昇によって改善することがある。しかし、このような介入は成長を完全に正常化することはない。慢性炎症関連ストレスを有する小児では、ストレス性成長障害改善の基本は、今でも疾患過程の効率良い制御を確実に行ないながら、グルココルチコイドを慎重に利用することである。腫瘍壊死因子α(TNFα)の作用を標的とする特異的な免疫調節療法は、多くの若年性特発性関節炎(JIA)小児患者における線形成長の回復に関して少なくとも部分的には有効である。抗TNF治療が無効の患者は、他の炎症性サイトカインを標的とする治療薬およびGH介入の候補となり得る。GH治療は一部のJIA患者において線形成長を回復させるが、抗サイトカイン療法が無効な患者の成長をGHが回復させるのかどうかは不明である。これらの治療法や、従来の治療が無効な患者の骨成長を改善させる可能性のある他の潜在的な新規治療戦略を開発するためには、さらなる実験および臨床研究が必要である。
L. S?vendahl, The Effect of Acute and Chronic Stress on Growth. Sci. Signal. 5, pt9 (2012).