• ホーム
  • 膵β細胞におけるcAMPとCa2+介在性Ras活性化によるEpac2活性の空間的制御

膵β細胞におけるcAMPとCa2+介在性Ras活性化によるEpac2活性の空間的制御

Spatial Control of Epac2 Activity by cAMP and Ca2+-Mediated Activation of Ras in Pancreatic β Cells

Research Article

Sci. Signal., 30 April 2013
Vol. 6, Issue 273, p. ra29
[DOI: 10.1126/scisignal.2003932]

Olof Idevall-Hagren, Ida Jakobsson, Yunjian Xu, and Anders Tengholm*

Department of Medical Cell Biology, Uppsala University, Biomedical Centre, Box 571, SE-751 23 Uppsala, Sweden.

* Corresponding author. E-mail: anders.tengholm@mcb.uu.se

要約

cAMP(アデノシン3',5'-一リン酸)活性化グアニンヌクレオチド交換因子(GEF)Epac2は、さまざまな細胞種におけるcAMP依存的過程の重要なメディエーターである。われわれは、リアルタイム共焦点・全反射照明蛍光顕微鏡法を用いて、グアノシントリホスファターゼ(GTPase)RapのGEFである、Epac2の時間的空間的調節を検討した。インスリン分泌β細胞において、cAMP濃度が上昇すると、Epac2の細胞質から細胞膜への移行が引き起こされることをわれわれは示した。cAMPの膜直下濃度のグルコースによる振動が、Epac2の周期的移行と関連し、この移行は、細胞質Ca2+濃度の上昇により増幅させることが可能であった。Epac2変異体の解析により、移行に不可欠な、高親和性cAMP結合ドメインとRas会合ドメインが同定された。ドミナントネガティブRas変異体の発現によってEpac2の移行は低下し、単一のβ細胞において、Ras活性のCa2+依存性の振動が、Epac2の移行と同調していた。Epac2の周期的移行は、細胞膜におけるRapのGTPase活性の振動を伴い、不活性型Rap1B変異体を発現させると、インスリン分泌が低下した。このように、Epac2の局在は、cAMPと、Ca2+を介するRasの活性化とによって、動的に制御される。これらの結果は、振動シグナルが膵β細胞からインスリン放出のパルスを発生させる仕組みの説明に役立つ。

O. Idevall-Hagren, I. Jakobsson, Y. Xu, A. Tengholm, Spatial Control of Epac2 Activity by cAMP and Ca2+-Mediated Activation of Ras in Pancreatic β Cells. Sci. Signal. 6, ra29 (2013).

英文原文をご覧になりたい方はScience Signaling オリジナルサイトをご覧下さい

英語原文を見る

2013年4月30日号

Editor's Choice

神経科学
記憶の翻訳

Research Article

AP1のエピジェネティックな活性化が扁平上皮がんの転移を促す

膵β細胞におけるcAMPとCa2+介在性Ras活性化によるEpac2活性の空間的制御

非定型ケモカイン受容体D6の捕捉活性にはコフィリン経路のβ-アレスチン依存的活性化が必要

Perspectives

ヒストン脱メチル化酵素はがん転移の舞台を用意する

最新のResearch Article記事

2024年2月27日号

ALOX5はCD4+ T細胞のパイロトーシスと関節リウマチにおける組織炎症を駆動する

2024年2月20日号

デザイナー高密度リポタンパク質粒子が内皮バリア機能を強化し炎症を抑制する

T細胞におけるgp130シグナル伝達の活性化がTH17介在性の多臓器自己免疫を引き起こす

2024年2月13日号

GPCRキナーゼはその細胞内局在に応じて偏向性のCXCR3下流シグナル伝達を差次的に調節する

リラキシン-3受容体のGαi/oバイアスステープルペプチドアゴニストによるバイアスアゴニズムの機構