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真核生物のGタンパク質シグナル伝達は活性化にGタンパク質共役受容体を必要とするように進化した
Eukaryotic G Protein Signaling Evolved to Require G Protein–Coupled Receptors for Activation
Sci. Signal., 21 May 2013
Vol. 6, Issue 276, p. ra37
[DOI: 10.1126/scisignal.2003768]
William Bradford1*, Adam Buckholz1*, John Morton1, Collin Price1, Alan M. Jones1,2†, and Daisuke Urano1
1 Department of Biology, University of North Carolina at Chapel Hill, Chapel Hill, NC 27599, USA.
2 Department of Pharmacology, University of North Carolina at Chapel Hill, Chapel Hill, NC 27599, USA.
* These authors contributed equally to this work.
† Corresponding author. E-mail: alan_jones@unc.edu
要約:増加し続ける多様なゲノム配列と機能データのバイオインフォマティクスによる解析は、シグナル伝達ネットワークの進化に関する洞察をもたらしてきたが、多様性の高いタンパク質ファミリーの進化を理解することへのバイオインフォマティクス的手法の適用は限られている。われわれは、シグナル伝達ネットワークの進化を調べるため、生化学的解析によりヘテロ3量体グアニンヌクレオチド結合タンパク質(Gタンパク質)シグナル伝達ネットワークの多様化した構成因子のいくつかについてin vitroの特性を調べた。動物において、Gタンパク質は、細胞表面の7回膜貫通型(7TM)受容体により活性化される。その受容体はGタンパク質共役受容体(GPCR)と呼ばれ、グアニンヌクレオチド交換因子(GEF)として働く。対照的に、植物のGタンパク質は内因的に活性化しており、7TMタンパク質は、グアノシントリホスファターゼ活性化タンパク質(GAP)として働くことによりGタンパク質の活性化を終結する。われわれは、Gタンパク質の活性状態の制御は古くはGPCR非依存的で「自己活性化」によっており、この性質は真核生物が含まれる2つの基本的なクレードのうちの1つであるバイコンタにおいては維持されているが、もう1つのクレードであるユニコンタにおいてはGEF非依存的からGEF依存的に進化したことを示した。真核生物の系統樹の根元付近においてGタンパク質の自己活性化が7TM-GAPにより制御されているということは、Gタンパク質活性化制御因子の祖先はGEFとして働くGPCRではなく、GAPとして働く受容体であることを示唆している。われわれの発見は、GPCRパラダイムが比較的少ない真核生物群にみられる近年進化したネットワーク構造を記述していることを示しており、シグナル伝達ネットワーク構造の進化は関連タンパク質の活性化状態を制御する分子の利用可能性によって制限されることを示唆している。
W. Bradford, A. Buckholz, J. Morton, C. Price, A. M. Jones, D. Urano, Eukaryotic G Protein Signaling Evolved to Require G Protein-Coupled Receptors for Activation. Sci. Signal. 6, ra37 (2013).