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AKTはPIKfyveをリン酸化し活性化することによりEGFRの輸送と分解を促進する

AKT Facilitates EGFR Trafficking and Degradation by Phosphorylating and Activating PIKfyve

Research Article

Sci. Signal., 11 June 2013
Vol. 6, Issue 279, p. ra45
[DOI: 10.1126/scisignal.2004015]

Ekrem Emrah Er1,2, Michelle C. Mendoza1, Ashley M. Mackey3, Lucia E. Rameh3, and John Blenis1*

1 Department of Cell Biology, Harvard Medical School, Boston, MA 02115, USA.
2 Programs in Biological and Biomedical Sciences, Harvard Medical School, Boston, MA 02115, USA.
3 Boston Biomedical Research Institute, 64 Grove Street, Watertown, MA 02472, USA.

* Corresponding author. E-mail: jblenis@hms.harvard.edu

要約:上皮成長因子受容体(EGFR)は、細胞増殖、成長、生存、代謝、移動を司る受容体チロシンキナーゼ(RTK)であり、PI3K(ホスファチジルイノシトール3-キナーゼ)–AKT経路およびERK(細胞外シグナル制御キナーゼ)–RSK(リボソームS6キナーゼ)経路を活性化することにより働く。EGFRからこれらの経路へのシグナル伝達は、時空間的に制御される。エンドサイトーシス輸送は、EGFRの下流エフェクターへの接近と、EGFRのシグナル伝達を終結させるEGFRの分解を制御する。われわれは、AKTがEGFRのエンドサイトーシス輸送を促進することによりEGFRの分解を促すことを示した。AKTシグナル伝達を干渉するとEGFRの再利用と分解率がともに減少した。AKT欠損細胞では、EGFRは細胞表面やリソソームに到達できず、初期エンドソームに蓄積し、結果としてシグナル伝達が長引きERKおよびRSKの活性化が昂進した。EGFの刺激により、AKTはキナーゼPIKfyve(FYVE含有ホスファチジルイノシトール3-リン酸5-キナーゼ)をリン酸化して活性化し、活性化されたPIKfyveはリソソームへの小胞輸送を促進する。従って、PIKfyveの活性化はEGFRの分解を促す。類似した制御機構が血小板由来成長因子受容体(PDGFR)についても見られることから、AKTによるPIKfyveのリン酸化と活性化はRTKシグナル伝達を終結し、受容体量を減少させる共通のフィードバック機構であると考えられる。

E. E. Er, M. C. Mendoza, A. M. Mackey, L. E. Rameh, J. Blenis, AKT Facilitates EGFR Trafficking and Degradation by Phosphorylating and Activating PIKfyve. Sci. Signal. 6, ra45 (2013).

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2013年6月11日号

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