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気孔開口中のK+取り込みを促進するbHLH転写因子は、アブシジン酸によりリン酸化を介して抑制される

bHLH Transcription Factors That Facilitate K+ Uptake During Stomatal Opening Are Repressed by Abscisic Acid Through Phosphorylation

Research Article

Sci. Signal., 18 June 2013
Vol. 6, Issue 280, p. ra48
[DOI: 10.1126/scisignal.2003760]

Yohei Takahashi1, Yuta Ebisu2, Toshinori Kinoshita1*, Michio Doi3, Eiji Okuma4, Yoshiyuki Murata4, and Ken-ichiro Shimazaki1†

1 Department of Biology, Faculty of Sciences, Kyushu University, Fukuoka 812-8581, Japan.
2 Graduate School of System Life Sciences, Kyushu University, Fukuoka 812-8581, Japan.
3 Center for Research and Advancement in Higher Education, Kyushu University, Fukuoka 819-0395, Japan.
4 Graduate School of Natural Science and Technology, Okayama University, Okayama 700-8530, Japan.

* Present address: Division of Biological Science, Graduate School of Science, Nagoya University, Aichi 464-8602, Japan.

† Corresponding author. E-mail: kenrcb@kyushu-u.org

要約:気孔は光に応答して開口し、アブシジン酸(ABA)への曝露後に閉鎖する。これは植物と大気とのガス交換を制御し、植物を環境条件の変化に適応させることができる。受容体へのABAの結合は、タンパク質のリン酸化が関わるシグナル伝達カスケードを開始させる。われわれは、ABAがシロイヌナズナ(Arabidopsis)孔辺細胞中で、AKS(ABA応答性キナーゼ基質)と呼ばれる3つの塩基性ヘリックス・ループ・ヘリックス(bHLH)転写因子(AKS1、AKS2、AKS3)のリン酸化を誘導することを明らかにした。非リン酸化状態のAKSは、内向き整流性K+チャネルをコードする遺伝子の転写を介して気孔開口を促進していた。aks1aks2-1の二重変異植物では、ABAを介する気孔閉口に影響は生じなかったが、光誘導性の気孔開口、光に応答したK+蓄積、内向き整流性K+チャネルの活性、ならびに主要な内向き整流性K+チャネルをコードする遺伝子の転写が低下していた。孔辺細胞において主要な内向き整流性K+チャネルをコードしている、potassium channel in Arabidopsis thaliana 1KAT1)遺伝子の過剰発現により、aks1aks2-1の表現型植物がレスキューされた。AKS1はKAT1のプロモーターに直接結合するが、この相互作用は、ABA誘導性リン酸化後に減弱した。ABAアゴニストであるピラバクチンは、AKSのリン酸化を誘導した。われわれの結果は、bHLH転写因子であるAKSファミリーが、内向き整流性K+チャネルをコードする遺伝子の転写を介して気孔開口を促進すること、さらに、ABAはAKSファミリー転写因子のリン酸化の誘発することで、これらチャネルの活性を抑制することを示している。

Y. Takahashi, Y. Ebisu, T. Kinoshita, M. Doi, E. Okuma, Y. Murata, K.-i. Shimazaki, bHLH Transcription Factors That Facilitate K+ Uptake During Stomatal Opening Are Repressed by Abscisic Acid Through Phosphorylation. Sci. Signal. 6, ra48 (2013).

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2013年6月18日号

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