• ホーム
  • 正常Krasと発がん性Krasを有する造血細胞においてPLC-γとPI3KがサイトカインをERK活性化に関連づける

正常Krasと発がん性Krasを有する造血細胞においてPLC-γとPI3KがサイトカインをERK活性化に関連づける

PLC-γ and PI3K Link Cytokines to ERK Activation in Hematopoietic Cells with Normal and Oncogenic Kras

Research Article

Sci. Signal., 3 December 2013
Vol. 6, Issue 304, p. ra105
[DOI: 10.1126/scisignal.2004125]

Ernesto Diaz-Flores1, Hana Goldschmidt1, Philippe Depeille2, Victor Ng1, Jon Akutagawa1, Kimberly Krisman1, Michael Crone1, Michael R. Burgess3, Olusegun Williams4, Benjamin Houseman4, Kevan Shokat4, Deepak Sampath5, Gideon Bollag6, Jeroen P. Roose2, Benjamin S. Braun1, and Kevin Shannon1*

1 Department of Pediatrics and Benniof Children’s Hospital, University of California, San Francisco, San Francisco, CA 94158, USA.
2 Department of Anatomy, University of California, San Francisco, San Francisco, CA 94143, USA.
3 Department of Medicine, University of California, San Francisco, San Francisco, CA 94158, USA.
4 Department of Cellular and Molecular Pharmacology, University of California, San Francisco, San Francisco, CA 94158, USA.
5 Genentech Inc., South San Francisco, CA 94080, USA.
6 Plexxikon Inc., Berkeley, CA 94710, USA.

* Corresponding author. E-mail: shannonk@peds.ucsf.edu

要約

K-RasG12Dなどの発がん性K-Rasタンパク質は、活性型であるグアノシン三リン酸(GTP)結合型の立体構造で蓄積し、エフェクターキナーゼを介してシグナル伝達を刺激する。内在性の野生型K-Rasとほぼ同量の腫瘍性タンパク質K-RasG12Dが存在する場合、初代造血細胞では古典的なRaf–マイトジェン活性化または細胞外シグナル制御プロテインキナーゼキナーゼ(MEK)–細胞外シグナル制御キナーゼ(ERK)およびホスホイノシチド3キナーゼ(PI3K)–Akt–哺乳類ラパマイシン標的タンパク質(mTOR)シグナル伝達カスケードのリン酸化と活性化が最小限しか起こらず、これらの経路の効率のよい活性化は依然として増殖因子に左右される。われわれは、分化骨髄細胞と、白血病幹細胞を多く含む細胞集団において、ホスホリパーゼC–γ(PLC-γ)とPI3K、およびこれらから生成されるセカンドメッセンジャーが活性型サイトカイン受容体をRasおよびERKシグナル伝達に関連づけることを示した。内在性の発がん性K-RasG12Dを発現する細胞では、Ras-ERKシグナル伝達の効率のよい活性化はセカンドメッセンジャーであるジアシルグリセロールに依然として左右された。これらのデータは、がんにおいて、発がん性Rasの上流で機能するタンパク質が治療標的になりうるという予想外の可能性を提起している。

E. Diaz-Flores, H. Goldschmidt, P. Depeille, V. Ng, J. Akutagawa, K. Krisman, M. Crone, M. R. Burgess, O. Williams, B. Houseman, K. Shokat, D. Sampath, G. Bollag, J. P. Roose, B. S. Braun, K. Shannon, PLC-γ and PI3K Link Cytokines to ERK Activation in Hematopoietic Cells with Normal and Oncogenic Kras. Sci. Signal. 6, ra105 (2013).

英文原文をご覧になりたい方はScience Signaling オリジナルサイトをご覧下さい

英語原文を見る

2013年12月3日号

Editor's Choice

薬理学
マリファナによる高揚を消す

Research Article

HES1はグルココルチコイド受容体依存性遺伝子発現のマスター制御因子である

リジンのメチル化がVEGFR-2の活性化と血管新生を促進する

正常Krasと発がん性Krasを有する造血細胞においてPLC-γとPI3KがサイトカインをERK活性化に関連づける

最新のResearch Article記事

2024年2月27日号

ALOX5はCD4+ T細胞のパイロトーシスと関節リウマチにおける組織炎症を駆動する

2024年2月20日号

デザイナー高密度リポタンパク質粒子が内皮バリア機能を強化し炎症を抑制する

T細胞におけるgp130シグナル伝達の活性化がTH17介在性の多臓器自己免疫を引き起こす

2024年2月13日号

GPCRキナーゼはその細胞内局在に応じて偏向性のCXCR3下流シグナル伝達を差次的に調節する

リラキシン-3受容体のGαi/oバイアスステープルペプチドアゴニストによるバイアスアゴニズムの機構