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TRAF6はプレセニリン1のポリユビキチン化および活性化を介してTGFβ I型受容体の腫瘍促進作用を刺激する

TRAF6 Stimulates the Tumor-Promoting Effects of TGFβ Type I Receptor Through Polyubiquitination and Activation of Presenilin 1

Research Article

Sci. Signal., 7 January 2014
Vol. 7, Issue 307, p. ra2
[DOI: 10.1126/scisignal.2004207]

Shyam Kumar Gudey1, Reshma Sundar1, Yabing Mu1, Anders Wallenius1, Guangxiang Zang1, Anders Bergh1, Carl-Henrik Heldin2, and Marene Landström1,2*

1 Department of Medical Biosciences, Pathology, Umeå University, SE-901 85 Umeå, Sweden.
2 Ludwig Institute for Cancer Research, Science for Life Laboratory, Uppsala University, SE-751 85 Uppsala, Sweden.

* Corresponding author. E-mail: marene.landstrom@medbio.umu.se

トランスフォーミング増殖因子–β(TGFβ)は腫瘍のプロモーターでもサプレッサーでもあり得るが、腫瘍化促進のスイッチの背景にある機構は、依然として完全には解明されていない。TGFβ I型受容体(TβRI)は外部ドメイン領域内でプロテアーゼにより切断される。切断のためには、腫瘍壊死因子(TNF)受容体会合因子6(TRAF6)とTNF-α–変換酵素(TACE)の複合活性が必要である。この切断イベントはがん細胞に選択的に生じ、核内に入り遺伝子転写を媒介するTβRIの細胞内ドメイン(ICD)を生成する。γ–セクレターゼの触媒性コア成分であるプレセニリン1(PS1)は、Notchなど膜貫通型受容体の膜内タンパク分解を媒介している。われわれは、TGFβがPS1の存在量を増加させ、かつPS1の活性を亢進することを明らかにした。TRAF6はPS1をTβRI複合体に集合させ、PS1のリジン63結合型ポリユビキチン化を促進させて、これがPS1を活性化した。さらにPS1はTβRIを膜貫通ドメイン内のバリン129とイソロイシン130の間で切断し、これらの残基がアラニンに変異しているときはICDの生成が阻害された。またわれわれは、TβRI-ICDが核内に入った後にTβRIをコードする遺伝子のプロモーターに結合し、転写を亢進することを明らかにした。in vitroにおいてTRAF6およびPS1誘導性のTβRIの膜内タンパク分解は、種々のがん細胞のTGFβ誘導性浸潤を促進した。さらに、前立腺がんのマウス異種移植モデルをγ-セクレターゼ阻害薬であるDBZ{(2S)-2-[2-(3,5-difluorophenyl)-acetylamino]-N-(5-methyl-6-oxo-6,7- dihydro-5H-dibenzo[b,d]azepin-7-yl)-propionamide}で処理したとき、TβRI-ICDの生成は抑制され、浸潤促進性転写因子Snail1をコードする遺伝子の転写は低下し、腫瘍増殖は阻害された。これらの結果は、γ-セクレターゼ阻害薬が侵襲性の前立腺がんの治療に有用である可能性を示唆している。

S. K. Gudey, R. Sundar, Y. Mu, A. Wallenius, G. Zang, A. Bergh, C.-H. Heldin, M. Landström, TRAF6 Stimulates the Tumor-Promoting Effects of TGFβ Type I Receptor Through Polyubiquitination and Activation of Presenilin 1. Sci. Signal. 7, ra2 (2014).

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