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非遺伝子性甲状腺ホルモンシグナル伝達は細胞膜に局在する受容体を介して生じる

Nongenomic Thyroid Hormone Signaling Occurs Through a Plasma Membrane–Localized Receptor

Research Article

Sci. Signal., 20 May 2014
Vol. 7, Issue 326, p. ra48
[DOI: 10.1126/scisignal.2004911]

Hema Kalyanaraman1*, Raphaela Schwappacher1*, Jisha Joshua1, Shunhui Zhuang1, Brian T. Scott1, Matthew Klos2, Darren E. Casteel1, John A. Frangos3, Wolfgang Dillmann1, Gerry R. Boss1, and Renate B. Pilz1†

1 Department of Medicine, University of California, San Diego, San Diego, CA 92093, USA.
2 Department of Surgery, University of California, San Diego, San Diego, CA 92093, USA.
3 La Jolla Bioengineering Institute, La Jolla, CA 92121, USA.

* These authors contributed equally to this work.

† Corresponding author. E-mail: rpilz@ucsd.edu

要約

甲状腺ホルモン(thyroid hormone:TH)は、脊椎動物の発生と骨などのほとんどの成体組織のホメオスタシスに不可欠である。THは、核内甲状腺受容体TRαおよびTRβを介して標的遺伝子の発現を刺激する。しかしTHには、転写とは独立した(非遺伝子性の)速効作用もある。われわれは、これまでに解析の進んでいない非遺伝子性THシグナル伝達に必要十分である細胞膜結合型受容体をいくつかの細胞種で見出した。われわれは、この受容体がTRαの内部メチオニンからの翻訳開始によって生じ、パルミトイル化されてカベオリン含有細胞膜ドメインと会合する転写能のないタンパク質を産生することを究明した。この受容体を介したTHシグナル伝達は、カルシウム、一酸化窒素(NO)、環状グアノシン一リン酸(cGMP)の細胞内濃度を上昇させることによって増殖促進および生存促進プログラムを刺激し、その後、プロテインキナーゼG II(PKGII)、チロシンキナーゼSrc、細胞外シグナル調節キナーゼ(ERK)およびAktシグナル伝達の活性化を引き起こした。甲状腺機能低下マウスは、骨形成障害と骨細胞のアポトーシス増加を伴うcGMP欠乏状態を示したが、グアニル酸シクラーゼの直接亢進剤によって回復した。われわれの研究結果は、非遺伝子性THシグナル伝達をこれまで解析の進んでいない細胞膜結合型受容体に関連づけるものであり、細胞の生存と増殖を調節するキナーゼカスケードを活性化させるTHエフェクターとしてNO合成酵素、グアニル酸シクラーゼ、PKGIIを同定している。

H. Kalyanaraman, R. Schwappacher, J. Joshua, S. Zhuang, B. T. Scott, M. Klos, D. E. Casteel, J. A. Frangos, W. Dillmann, G. R. Boss, R. B. Pilz, Nongenomic Thyroid Hormone Signaling Occurs Through a Plasma Membrane–Localized Receptor. Sci. Signal. 7, ra48 (2014).

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