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AKAP150依存的で協調的なTRPV4チャネルの開口は内皮依存的血管拡張の中心であり、高血圧で乱される

AKAP150-dependent cooperative TRPV4 channel gating is central to endothelium-dependent vasodilation and is disrupted in hypertension

Research Article

Sci. Signal., 8 July 2014
Vol. 7, Issue 333, p. ra66
[DOI: 10.1126/scisignal.2005052]

Swapnil K. Sonkusare1, Thomas Dalsgaard1, Adrian D. Bonev1, David C. Hill-Eubanks1, Michael I. Kotlikoff2, John D. Scott3, Luis F. Santana4, and Mark T. Nelson1,5*

1 Department of Pharmacology, College of Medicine, University of Vermont, Burlington, VT 05403, USA.
2 Department of Biomedical Sciences, College of Veterinary Medicine, Cornell University, Ithaca, NY 14853, USA.
3 Howard Hughes Medical Institute and Department of Pharmacology, University of Washington, Seattle, WA 98195, USA.
4 Department of Physiology and Biophysics, University of Washington, Seattle, WA 98195, USA.
5 Institute of Cardiovascular Sciences, University of Manchester, Manchester M13 9NT, UK.

* Corresponding author. E-mail: mark.nelson@uvm.edu

要約

内皮細胞依存的な血管拡張因子に対する応答の消失により特徴付けられる内皮細胞の機能不全は高血圧の顕著な徴候である。TRPV4チャネルは、内皮依存的血管拡張に主要な役割を果たし、その機能は、内皮細胞全体のCa2+レベルの上昇よりむしろ、機能的に共役したTRPV4チャネルのクラスターを介した局所的Ca2+流入により媒介される。われわれは、マウス動脈内皮細胞上のムスカリン性アセチルコリン受容体の刺激が、平滑筋細胞と接する内皮細胞の特異領域である筋内皮突起(MEP)に局在するTRPV4チャネルのみを活性化することを示した。ムスカリン性受容体によるTRPV4の活性化は、プロテインキナーゼC(PKC)およびPKCアンカータンパク質AKAP150に依存し、後者はMEPに濃縮していた。クラスター化したTRPV4チャネルの協調的開口は、MEPでのCa2+流入を特異的に増幅した。非MEP部位でのTRPV4チャネルの協調性は大幅に低く、MEPでの協調性は細胞内Ca2+のキレート化あるいはAKAP150のノックアウトにより顕著に減少したことから、隣接チャンネルを介したCa2+流入がAKAP150依存的なTRPV4活性の増強の基となることが示唆された。アンギオテンシンII誘導性高血圧のマウスモデルにおいて、AKAP150のMEP局在は阻害され、ムスカリン性受容体の刺激はTRPV4チャネルを活性化せず、MEPでのTRPV4チャネル間の協調性は弱くなり、ムスカリン性受容体刺激に応答した血管拡張は減少していた。このように、抵抗動脈の内皮依存的拡張は、MEPに局在化したAKAP150により可能となり、この局在は動脈における内皮から平滑筋細胞への効率的な情報伝達に必要な、TRPV4チャネルへのPKCの接近および共役したチャネル開閉を保証する。この分子集合体の阻害は高血圧における血流変化の一因となっている可能性がある。

S. K. Sonkusare, T. Dalsgaard, A. D. Bonev, D. C. Hill-Eubanks, M. I. Kotlikoff, J. D. Scott, L. F. Santana, M. T. Nelson, AKAP150-dependent cooperative TRPV4 channel gating is central to endothelium-dependent vasodilation and is disrupted in hypertension. Sci. Signal. 7, ra66 (2014).

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