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末梢性疼痛はGタンパク質を介したT型カルシウムチャネルの刺激を通してインスリン様増殖因子1によって増強される

Peripheral pain is enhanced by insulin-like growth factor 1 through a G protein–mediated stimulation of T-type calcium channels

Research Article

Sci. Signal., 7 October 2014
Vol. 7, Issue 346, p. ra94
DOI: 10.1126/scisignal.2005283

Yuan Zhang1,2, Wenjuan Qin1, Zhiyuan Qian2, Xingjun Liu3, Hua Wang1, Shan Gong1, Yan-Gang Sun3,*, Terrance P. Snutch4, Xinghong Jiang1, and Jin Tao1,*

1 Department of Neurobiology, Medical College of Soochow University, Suzhou 215123, P.R. China.
2 Department of Geriatrics, Institute of Neuroscience, The Second Affiliated Hospital of Soochow University, Suzhou 215004, P.R. China.
3 Institute of Neuroscience, Shanghai Institutes for Biological Sciences, Chinese Academy of Sciences, Shanghai 200031, China.
4 Michael Smith Laboratories and Djavad Mowafaghian Centre for Brain Health, University of British Columbia, Vancouver, British Columbia V6T 1Z4, Canada.

*Corresponding authors. E-mail: taoj@suda.edu.cn (J.T.); yangang.sun@ion.ac.cn (Y.-G.S.)

要約 インスリン様増殖因子1(IGF-1)は、一次求心性ニューロンの侵害受容性(疼痛)知覚に関与している。われわれは、IGF-1受容体(IGF-1R)が、ヘテロ三量体Gタンパク質(ヘテロ三量体グアニンヌクレオチド結合タンパク質)シグナル伝達に依存する機構を通して、マウス後根神経節(DRG)ニューロンの電位依存性T型Ca2+(CaV3)チャネルを機能的に刺激することを見出した。IGF-1は、IGF-1濃度とIGF-1Rに依存するがホスファチジルイノシトール3キナーゼ(PI3K)と無関係な様式で、小径DRGニューロンのT型チャネル電流を増加させた。IGF-1Rの細胞内サブユニットはGαoと免疫共沈降した。グアノシン二リン酸(GDP)-β-Sの細胞内投与あるいは百日咳毒素によりGタンパク質シグナル伝達を遮断すると、IGF-1の刺激効果が消失した。プロテインキナーゼCα(PKCα)の拮抗薬は、IGF-1が誘導するT型チャネル電流の増加を消失させたが、PKCβの拮抗薬は消失させなかった。IGF-1投与によりPKCαの膜存在量が増加し、PKCαを(薬理学的または遺伝的に)阻害すると、IGF-1により刺激されるT型チャネル電流の増加が消失した。IGF-1は、DRGニューロンにおける活動電位発火を増加させ、後足に与えられた温度刺激および機械的刺激に対するマウスの感受性を亢進させた。両者は、T型チャネル阻害薬を足底内に注入すると減弱した。さらに、DRGニューロンにおけるIGF-1Rシグナル伝達の阻害、あるいはCaV3.2またはPKCαのノックダウンにより、慢性後足炎症を模した条件下でマウスが示した機械的刺激感受性および温度感受性の亢進が消失した。合わせると、われわれの結果から、IGF-1は、Gタンパク質依存性PKCα経路と連結したIGF-1Rの活性化を通してT型チャネル電流を増強し、それにより、DRGニューロンの興奮性と疼痛に対する感受性を亢進させることが示される。

Y. Zhang, W. Qin, Z. Qian, X. Liu, H. Wang, S. Gong, Y.-G. Sun, T. P. Snutch, X. Jiang, and J. Tao, Peripheral pain is enhanced by insulin-like growth factor 1 through a G protein-mediated stimulation of T-type calcium channels. Sci. Signal. 7, ra94 (2014).

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2014年10月7日号

Editor's Choice

生理学
うつ病を追いだす

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末梢性疼痛はGタンパク質を介したT型カルシウムチャネルの刺激を通してインスリン様増殖因子1によって増強される

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