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Notchシグナル伝達は細胞分裂前に作用し神経前駆細胞の非対称分裂と細胞運命決定を促す
Notch signaling acts before cell division to promote asymmetric cleavage and cell fate of neural precursor cells
Sci. Signal., 21 October 2014
Vol. 7, Issue 348, p. ra101
DOI: 10.1126/scisignal.2005317
Krishna Moorthi Bhat
Department of Neuroscience and Cell Biology, University of Texas Medical Branch School of Medicine, Galveston, TX 77555, USA. E-mail: kmbhat@utmb.edu
要約
中枢神経系における非対称細胞分裂は、様々な運命のニューロンを生みだす。ショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)において、Numbタンパク質は、分裂する神経前駆体に対し非対称に局在し、その結果一つの娘細胞のみがNumbを受け継ぐ。Numbは、この娘細胞でNotchシグナル伝達を抑え、他方の、すなわちNumb陰性の、娘細胞においてNotchに誘導される細胞運命とは異なる細胞運命を導く。前駆細胞は、サイズの異なる娘細胞を生じる非対称細胞質分裂を行う。私は、ハエの胚性神経前駆細胞におけるNotchの不活化が分裂溝の非対称な位置取りを乱し、サイズと細胞運命が同じである娘細胞を生じさせることを発見した。さらに、異なる時期のNotchの不活化は、Numbの非対称局在の度合いを変化させ、Notchのより初期の不活化は、Numbの対称的な分布を導き、より後期の不活化はNumbの不完全な非対称局在を生じた。Numbの非対称局在の程度は、非対称細胞質分裂の程度および娘細胞のサイズ差と正に相関した。Numbの欠失あるいは構成的活性化Notchの発現は、前駆細胞において一方の娘細胞の運命への早期の決定を導いた。このように、分裂後の娘細胞の運命決定における役割に加えて、Notchは、前駆細胞におけるNumbの局在を制御し、娘細胞のサイズと運命を決定する。Numbもまた、前駆細胞でのNotchシグナル伝達を阻害して前駆細胞のNotch誘導性分化を妨げ、自己調節ループを形成する。
K. M. Bhat, Notch signaling acts before cell division to promote asymmetric cleavage and cell fate of neural precursor cells. Sci. Signal. 7, ra101 (2014).