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BRAF誘導性腫瘍形成はIKKαに依存するがNF-κBには依存しない

BRAF-induced tumorigenesis is IKKα-dependent but NF-κB–independent

Research Article

Sci. Signal., 21 April 2015
Vol. 8, Issue 373, p. ra38
DOI: 10.1126/scisignal.2005886

Pol Margalef1,*, Carlota Colomer1, Alberto Villanueva2, Clara Montagut3, Mar Iglesias4, Beatriz Bellosillo4, Ramón Salazar5, María Martínez-Iniesta2, Anna Bigas1, and Lluís Espinosa1,

1 Institut Hospital del Mar d'Investigacions Mèdiques (IMIM), Parc de Recerca Biomèdica de Barcelona, Barcelona 08003, Spain.
2 Laboratori de Recerca Translacional, Institut d'Investigació Biomèdica de Bellvitge (IDIBELL), Institut Català d'Oncologia, Gran Via km 2.7, Hospitalet, Barcelona 08907, Spain.
3 Department of Oncology, IMIM, Universitat Pompeu Fabra, Barcelona 08003, Spain.
4 Department of Pathology, IMIM, Barcelona 08003, Spain.
5 Department of Oncology, Hospital de Bellvitge, Hospitalet, Barcelona 08907, Spain.

† Corresponding author. E-mail: lespinosa@imim.es

* Present address: The Francis Crick Institute, Clare Hall Laboratory, Blanche Lane, South Mimms, Hertfordshire EN6 3LD, UK.

要約 KRAS変異は、大腸がん(CRC)などの多くのがんにおいて、細胞の増殖と生存に関与する。変異KRASが作用する経路の一つは、キナーゼIKKが関わる、転写因子NF-κBを活性化させる炎症経路である。KRASの下流のキナーゼであるBRAFは、CRCの一部において変異しており、予後不良と治療抵抗性の予測因子である。われわれは、変異KRASとは対照的に変異BRAF(BRAFV600E)が、CRC細胞において、NF-κB活性化を誘導せず、代わりに、IKKαのタンパク質分解断片(p45-IKKα)のリン酸化を誘導することを見出した。BRAFV600E CRC細胞ではリン酸化p45-IKKαの存在量が多く、この存在量はRAF阻害剤によって減少した。しかし、これらの細胞におけるNF-κBの存在量およびDNA結合には、RAF阻害剤による影響は認められず、ヒト胚性腎293T細胞にBRAFV600Eを発現させても、NF-κBレポーターは活性化されなかった。さらに、NIH-3T3細胞のBRAF誘導性形質転換と、BRAF依存性転写には、p45-IKKαのリン酸化が必要であった。エンドソーム区画に関連するキナーゼTAK1が、p45-IKKαをリン酸化した。BRAF変異CRC細胞において、エンドソームの液胞型アデノシントリホスファターゼ(V-ATPase)をクロロキンまたはバフィロマイシンA1によって阻害すると、オートファジーとは独立して、p45-IKKαリン酸化が阻害され、アポトーシスが誘導された。マウスにV-ATPase阻害剤を投与すると、盲腸におけるBRAFV600E異種移植腫瘍の増殖と転移が減少した。

P. Margalef, C. Colomer, A. Villanueva, C. Montagut, M. Iglesias, B. Bellosillo, R. Salazar, M. Martínez-Iniesta, A. Bigas, and L. Espinosa, BRAF-induced tumorigenesis is IKKα-dependent but NF-κB-independent. Sci. Signal. 8, ra38 (2015).

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2015年4月21日号

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