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EGFR活性化SrcファミリーキナーゼはEGFRから遠位のGAB1-SHP2複合体を維持する

EGFR-activated Src family kinases maintain GAB1-SHP2 complexes distal from EGFR

Research Article

Sci. Signal., 12 May 2015
Vol. 8, Issue 376, p. ra46
DOI: 10.1126/scisignal.2005697

Christopher M. Furcht1, Janine M. Buonato1, and Matthew J. Lazzara1,2,*

1 Department of Chemical and Biomolecular Engineering, University of Pennsylvania, Philadelphia, PA 19104, USA.
2 Department of Bioengineering, University of Pennsylvania, Philadelphia, PA 19104, USA.

* Corresponding author. E-mail: mlazzara@seas.upenn.edu

要約 受容体チロシンキナーゼの活性化によって核が形成されるシグナル伝達タンパク質複合体は、Srcホモロジー2(SH2)ドメインによるリン酸化チロシン認識などの相互作用によって結合している動的巨大分子集合体である。われわれは、可逆的結合およびホスファターゼ活性がこれらのタンパク質複合体の動的制御を可能にしており、これがシグナル伝達に影響を及ぼすと予測した。本研究では、上皮成長因子(EGF)受容体(EGFR)、GRB2結合タンパク質1(GAB1)およびSH2ドメイン含有ホスファターゼ2(SHP2)間の相互作用における動態がEGFRシグナル伝達アウトプット、特に、SHP2の自己阻害を軽減するSHP2とチロシンリン酸化GAB1の結合にどのような影響を及ぼすかを検討した。活性化SHP2の作用の1つに、細胞外シグナル制御キナーゼ(ERK)活性の亢進がある。本研究によって、H1666肺腺がん細胞において、EGFR活性化Srcファミリーキナーゼ(SFK)が繰り返すGAB1脱リン酸化事象を阻害し、EGFR遠位の細胞質部位でのSHP2とリン酸化GAB1の結合を維持することが明らかになった。実験的に検証されたEGFR不活化後のSFK不活化の遅延は、特定の濃度範囲のタンパク質による細胞内のGAB1リン酸化の増幅とともに、GAB1のリン酸化およびGAB1-SHP2複合体を、EGFによるEGFRリン酸化よりも長時間持続させることが、計算モデルによって予測された。このSFK依存性メカニズムはEGFRに特異的で、受容体チロシンキナーゼc-METの活性化では生じなかった。以上、本研究の結果から、シグナル伝達タンパク質複合体の持続性を制御することにより、シグナル持続時間を遠隔制御する、いくつかの受容体チロシンキナーゼの制御メカニズムが明らかになった。

C. M. Furcht, J. M. Buonato, and M. J. Lazzara, EGFR-activated Src family kinases maintain GAB1-SHP2 complexes distal from EGFR. Sci. Signal. 8, ra46 (2015).

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