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足場タンパク質RACK1は破骨細胞前駆細胞においてRANKL依存性のp38 MAPK活性化を仲介する
The scaffold protein RACK1 mediates the RANKL-dependent activation of p38 MAPK in osteoclast precursors
Sci. Signal., 2 June 2015
Vol. 8, Issue 379, p. ra54
DOI: 10.1126/scisignal.2005867
Jingjing Lin1,2, Daekee Lee1, Yongwon Choi3, and Soo Young Lee1,2,*
1 Department of Life Science, Ewha Womans University, Seoul 120-750, South Korea.
2 Research Center for Cellular Homeostasis, Ewha Womans University, Seoul 120-750, South Korea.
3 Department of Pathology and Laboratory Medicine, University of Pennsylvania School of Medicine, Philadelphia, PA 19104, USA.
* Corresponding author. E-mail: leesy@ewha.ac.kr
要約 E3ユビキチンリガーゼTRAF6[腫瘍壊死因子(TNF)受容体(TNFR)関連因子6]と関連キナーゼTAK1[トランスフォーミング増殖因子-β(TGF-β)活性化キナーゼ1]は、さまざまな刺激に応答して核内因子κB(NF-κB)とマイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)を活性化させるシグナル伝達経路の、主要な構成成分である。サイトカインRANKL(NF-κB活性化受容体リガンド)は、NF-κBおよびMAPKの活性化を介する、骨髄細胞から骨吸収を行う破骨細胞への分化に不可欠である。われわれは、足場タンパク質RACK1(活性化Cキナーゼ受容体1)が、p38 MAPKの上流にあるMAPKキナーゼMKK6(MAPKキナーゼキナーゼ6)と相互作用することにより、TRAF6-TAK1軸を介して、RANKL依存性のp38 MAPK活性化を選択的に仲介することを見出した。RACK1は、p38 MAPK活性化の刺激を介する、骨髄細胞の破骨細胞への分化に必要であった。RANKLに曝露された破骨細胞前駆細胞では、RACK1、RANK、TRAF6、TAK1、キナーゼMKK6のあいだに相互作用が認められ、これによってMKK6-p38 MAPK経路が活性化された。破骨細胞前駆細胞においてRACK1またはTAK1をノックダウンした実験では、RACK1が橋として働き、MKK6をTRAF6-TAK1複合体に運ぶことが示された。さらに、RACK1特異的低分子干渉RNA(siRNA)をマウス頭蓋冠に局所投与すると、破骨細胞数の減少により、RANKL誘導性の骨量減少が軽減された。これらの結果から、RACK1は、MKK6のTAK1との会合を促進することによって、RANKL刺激によるp38 MAPK活性化を規定しており、骨疾患を治療するための新たな治療戦略の分子標的となる可能性があることが示唆される。
J. Lin, D. Lee, Y. Choi, and S. Y. Lee, The scaffold protein RACK1 mediates the RANKL-dependent activation of p38 MAPK in osteoclast precursors. Sci. Signal. 8, ra54 (2015).