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関節軟骨の維持と変形性関節症におけるNOTCHシグナル伝達の二元的な役割

A dual role for NOTCH signaling in joint cartilage maintenance and osteoarthritis

Research Article

Sci. Signal. 21 Jul 2015:
Vol. 8, Issue 386, pp. ra71
DOI: 10.1126/scisignal.aaa3792

Zhaoyang Liu,1,2 Jianquan Chen,3 Anthony J. Mirando,1,3 Cuicui Wang,1,4 Michael J. Zuscik,1 Regis J. O'Keefe,1,5 Matthew J. Hilton1,3*

1 Department of Orthopaedics and Rehabilitation, Center for Musculoskeletal Research, University of Rochester Medical Center, Rochester, NY 14642, USA.
2 Department of Biology, University of Rochester, Rochester, NY 14642, USA.
3 Department of Orthopaedic Surgery, Duke Orthopaedic Cellular, Developmental, and Genome Laboratories, Duke University School of Medicine, Durham, NC 27710, USA.
4 Department of Pathology and Laboratory Medicine, University of Rochester, Rochester, NY 14642, USA.
5 Department of Orthopaedic Surgery, Washington University School of Medicine, St. Louis, MO 63110, USA.

* Corresponding author. E-mail: matthew.hilton@dm.duke.edu

要約 出生後のマウスの関節におけるNOTCHシグナル伝達の欠損は、変形性関節症をもたらすことから、関節軟骨の維持にNOTCHが必要であることが示唆される。しかし、NOTCHシグナル伝達の構成要素の存在量が、ヒトおよびマウスにおける外傷後の変形性関節症でかなり増加することから、変形性関節症におけるNOTCH活性化の修復的または病理的役割が示唆される。われわれは、生後の関節軟骨内でNOTCH1細胞内ドメイン(NICD)を過剰発現する2種類のマウスモデルを作成し、関節維持および変形性関節症における可能性のあるNOTCHの二元的な役割を検討した。最初のマウスモデルは、病理学的なNOTCHシグナル伝達に似せるために、持続性のあるNOTCH活性化を示した。他方、2つ目のモデルは、一過性のNOTCH活性化を有し、これは、生理学的なNOTCHシグナル伝達をより密接に反映した。関節軟骨における持続性のNOTCHシグナル伝達は、早期に、また進行性の変形性関節症様の病理をもたらした。他方、一過性のNOTCH活性化は、軟骨マトリックスの合成を増大させ、正常な生理学的条件下で関節維持を促進した。RNAシーケンシング、免疫組織化学、生化学的アプローチを通して、われわれは、NOTCHを介した軟骨分解、線維化、変形性関節症の進行に関与する可能性のあるいくつかの標的を同定した。これらの標的には、インターロイキン6(IL-6)シグナル伝達性転写因子3(STAT3)およびマイトジェン活性化プロテインキナーゼシグナル伝達経路の構成要素が含まれ、これらは外傷性の変形性関節症の発症にも寄与するかもしれない。合わせると、これらのデータから、関節軟骨におけるNOTCH経路の二元的な役割が示唆され、NOTCHシグナル伝達の下流のエフェクターが変形性関節症疾患修飾薬の創薬標的として同定される。

Citation: Z. Liu, J. Chen, A. J. Mirando, C. Wang, M. J. Zuscik, R. J. O'Keefe, M. J. Hilton, A dual role for NOTCH signaling in joint cartilage maintenance and osteoarthritis. Sci. Signal. 8, ra71 (2015).

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