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ニューレグリン活性化ERBB4はSREBP-2コレステロール生合成経路を誘導し、低密度リポタンパク質の取り込みを増加させる

Neuregulin-activated ERBB4 induces the SREBP-2 cholesterol biosynthetic pathway and increases low-density lipoprotein uptake

Research Article

Sci. Signal. 03 Nov 2015:
Vol. 8, Issue 401, pp. ra111
DOI: 10.1126/scisignal.aac5124

Jonathan W. Haskins1, Shannon Zhang1, Robert E. Means1, Joanne K. Kelleher2, Gary W. Cline3, Alberto Canfrán-Duque4, Yajaira Suárez1,4, and David F. Stern1,*

1 Department of Pathology and Yale Cancer Center, Yale University School of Medicine, New Haven, CT 06510, USA.
2 Department of Chemical Engineering, Massachusetts Institute of Technology, Cambridge, MA 02139, USA.
3 Department of Internal Medicine, Yale University School of Medicine, New Haven, CT 06510, USA.
4 Department of Comparative Medicine, Yale University School of Medicine, New Haven, CT 06510, USA.

* Corresponding author. E-mail: df.stern@yale.edu

要約 コレステロールはステロイドホルモンの産生および細胞膜の完全性に非常に重要な脂質であり、したがって、細胞の成長に必須である。上皮増殖因子受容体(EGFR)ファミリーメンバーであるERBB4は、他のEGFRファミリーメンバーとシグナル伝達複合体を形成するが、リガンド誘導性タンパク質分解切断を受け、核に入り転写を変化させる可溶性細胞内ドメイン(ICD)を放出する。われわれは、ERBB4がステロール制御領域結合タンパク質2(SREBP-2)を活性化し、低密度リポタンパク質(LDL)の取り込みおよびコレステロール生合成を増加させることを見出した。乳腺上皮細胞におけるERBB4 ICDの発現またはそのリガンドであるニューレグリン1(NRG1)によるERBB4活性化は、コレステロール生合成に関与する、HMGCRおよびHMGCS1、ならびにLDL受容体をコードし、脂質取り込みに関与するLDLRを含むSREBP標的遺伝子の発現を誘導した。NRG1の添加は、PI3K(ホスファチジルイノシトール3キナーゼ)阻害薬の追加または哺乳類ラパマイシン標的複合体1(mTORC1)およびmTORC2の二重阻害により遮断され、AKTまたはmTORC1の阻害により遮断されなかった経路を通して、切断型成熟SREBP-2の存在量を増加させた。SREBPサイト1プロテアーゼ活性またはすべてのEGFRファミリーメンバーの薬理学的阻害(lapatinibによる)により、NRG-1により誘導されるコレステロール生合成遺伝子の発現が障害されたが、EGFRのみの阻害(erlotinibによる)では、障害されなかった。合わせると、われわれの結果から、ERBB4活性化は、SREBP-2により制御されるコレステロール代謝を促進することが示唆される。EGFRおよびERBB4シグナル伝達とSREBP-2により制御されるコレステロール代謝の関連性は、ERBBにより制御される発達過程に重要である可能性が高く、ERBB由来がんにおける代謝の再構成に寄与するかもしれない。

Citation: J. W. Haskins, S. Zhang, R. E. Means, J. K. Kelleher, G.W. Cline, A. Canfrán-Duque, Y. Suárez, D. F. Stern, Neuregulin-activated ERBB4 induces the SREBP-2 cholesterol biosynthetic pathway and increases low-density lipoprotein uptake. Sci. Signal. 8, ra111 (2015).

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