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肥満時のH2Sの枯渇は脂肪組織マクロファージのストア作動性Ca2+流入を促進しサイトカイン産生を増加させる

Depletion of H2S during obesity enhances store-operated Ca2+ entry in adipose tissue macrophages to increase cytokine production

Research Article

Sci. Signal. 15 Dec 2015:
Vol. 8, Issue 407, pp. ra128
DOI: 10.1126/scisignal.aac7135

Gopal V. Velmurugan1,*, Huiya Huang1,*, Hongbin Sun1, Joseph Candela1, Mukesh K. Jaiswal2, Kenneth D. Beaman2, Megumi Yamashita3, Murali Prakriya3, and Carl White1,†

1 Department of Physiology and Biophysics, Chicago Medical School, Rosalind Franklin University of Medicine and Science, North Chicago, IL 60064, USA.
2 Department of Microbiology and Immunology, Chicago Medical School, Rosalind Franklin University of Medicine and Science, North Chicago, IL 60064, USA.
3 Department of Pharmacology, Feinberg School of Medicine, Northwestern University, Chicago, IL 60611, USA.

† Corresponding author. E-mail: carl.white@rosalindfranklin.edu

* These authors contributed equally to this work.

要約  脂肪組織マクロファージ(ATM)による炎症性サイトカインの産生増加は、肥満時の慢性的な低レベルの炎症に寄与する。われわれは、マウスの肥満が、ガス状のシグナル伝達分子である硫化水素(H2S)の生物学的利用能を減少させることを見いだした。定常状態のH2Sの細胞内濃度は、やせたマウス由来のATMよりも食餌誘導性肥満マウスから単離されたATMで低かった。また、マクロファージ細胞株RAW264.7におけるH2Sの細胞内濃度は、微生物産物リポ多糖(LPS)により誘発される急性炎症反応時に減少していた。H2Sの細胞内濃度の減少は、ストア作動性Ca2+流入(SOCE)経路を介して、Ca2+の流入増加を導き、それは外因性H2SドナーGYY4137により阻害された。さらに、GYY4137は、SOCE装置の主要構成因子であるOrai3チャンネルを阻害した。RAW264.7細胞および肥満マウス由来のATMによる炎症性サイトカインの産生亢進は、外因性H2SあるいはSOCEの阻害により減少した。合わせると、これらのデータは、急性(LPS誘発性)あるいは慢性(肥満)炎症時に起こるマクロファージH2Sの枯渇が、Orai3の脱抑制を介してSOCEを増加させ、炎症性サイトカインの産生を促進することを示唆している。

Citation: G. V. Velmurugan, H. Huang, H. Sun, J. Candela, M. K. Jaiswal, K. D. Beaman, M. Yamashita, M. Prakriya, C. White, Depletion of H2S during obesity enhances store-operated Ca2+ entry in adipose tissue macrophages to increase cytokine production. Sci. Signal. 8, ra128 (2015).

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