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ロスマリン酸は植物により産生され細菌性クオラムセンシング調節因子を活性化するホモセリンラクトン模倣物である
Rosmarinic acid is a homoserine lactone mimic produced by plants that activates a bacterial quorum-sensing regulator
Sci. Signal. 05 Jan 2016:
Vol. 9, Issue 409, pp. ra1
DOI: 10.1126/scisignal.aaa8271
Andrés Corral-Lugo, Abdelali Daddaoua, Alvaro Ortega, Manuel Espinosa-Urgel, and Tino Krell*
Department of Environmental Protection, Estación Experimental del Zaidín, Consejo Superior de Investigaciones Científicas, C/ Prof. Albareda, 1, 18008 Granada, Spain.
* Corresponding author. E-mail: tino.krell@eez.csic.es
要約 クオラムセンシングとは、細菌がバイオフィルムなどのコミュニティーとして生存することを可能にする、遺伝子を制御する細菌のコミュニケーション機構である。ホモセリンラクトン(HSL)分子はグラム陰性菌のクオラムセンシングシグナルとして機能する。また植物は、クオラムセンシングに影響する、これまで同定されていない物質も産生している。われわれはHSL模倣物として機能する植物由来物質としてロスマリン酸を同定した。in vitroアッセイから、ロスマリン酸は緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)PAO1のクオラムセンシング調節因子RhlRに結合し、細菌リガンドであるN-ブタノイル‐ホモセリンラクトン(C4-HSL)と競合することが示された。さらにロスマリン酸はin vitroにおいて、C4-HSLに比べてRhlRを介した転写の増加を大きく刺激した。ロスマリン酸は緑膿菌において、クオラムセンシング依存性の遺伝子発現を誘発し、バイオフィルムの形成ならびに病原性因子であるピオシアニンとエラスターゼの産生を増加させた。緑膿菌PAO1の感染は植物根からのロスマリン酸の分泌を誘発することから、われわれの結果は、ロスマリン酸の分泌は早期のクオラムセンシング反応を刺激するための、植物の1つの防御機構であることを示唆している。緑膿菌は植物と動物に感染する遍在的な病原体である。したがって、早期クオラムセンシング反応の誘導因子としてのロスマリン酸の同定は、農業分野において有用であり、またヒトの治療戦略に情報を与えると考えられる。
Citation: A. Corral-Lugo, A. Daddaoua, A. Ortega, M. Espinosa-Urgel, T. Krell, Rosmarinic acid is a homoserine lactone mimic produced by plants that activates a bacterial quorum-sensing regulator. Sci. Signal. 9, ra1 (2016).