• ホーム
  • 内皮細胞はVEGFによるCa2+シグナル伝達パターンを解読し異なる機能応答を生じる

内皮細胞はVEGFによるCa2+シグナル伝達パターンを解読し異なる機能応答を生じる

Endothelial cells decode VEGF-mediated Ca2+ signaling patterns to produce distinct functional responses

Research Article

Sci. Signal. 23 Feb 2016:
Vol. 9, Issue 416, pp. ra20
DOI: 10.1126/scisignal.aad3188

David P. Noren1,2, Wesley H. Chou3, Sung Hoon Lee4, Amina A. Qutub2, Aryeh Warmflash2,3, Daniel S. Wagner3, Aleksander S. Popel1,*, and Andre Levchenko4,*

1 Department of Biomedical Engineering, Johns Hopkins University School of Medicine, 720 Rutland Avenue, Baltimore, MD 21205, USA.
2 Department of Bioengineering, Rice University, 6100 Main Street, Houston, TX 77005, USA.
3 Department of Biosciences, Rice University, Houston, TX 77005, USA.
4 Yale Systems Biology Institute and Department of Biomedical Engineering, Yale University, 850 West Campus Drive, West Haven, CT 06516, USA.

* Corresponding author. E-mail: andre.levchenko@yale.edu (A.L.); apopel@jhu.edu (A.S.P.)

要約 単一の細胞外刺激は、差次的制御シグナル伝達ネットワークにより同質遺伝子細胞間で多様な挙動を導くことができる。われわれは、内皮細胞において異なる挙動を刺激しうる増殖因子、VEGF(血管内皮増殖因子)に応答したCa2+シグナル伝達について調べた。われわれは、異なるVEGF濃度で刺激することにより、内皮細胞におけるVEGFシグナル伝達の量を変えると、異なる細胞の挙動と相関した別個の、そして相互排他的な動的Ca2+シグナル伝達応答が引き起こされることがわかった。これらの挙動は、転写因子NFAT(活性化T細胞核内因子)が関与する細胞増殖およびMLCK(ミオシン軽鎖キナーゼ)が関与する細胞移動であった。さらなる解析により、このシグナル解読はシグナル入力のノイズが多いという性質に頑強であることが示唆された。われわれは、確率論的モデリングを用いて、Ca2+シグナル解読の確率および決定論的側面の両方を捉え、VEGFシグナル伝達の異なる量を模擬するのに用いたVEGF勾配における細胞応答を正確に予測した。細胞増殖および細胞移動に関連したCa2+シグナル伝達パターンが、発生中のゼブラフィッシュにおいて血管新生時に検出された。

Citation: D. P. Noren, W. H. Chou, S. H. Lee, A. A. Qutub, A. Warmflash, D. S. Wagner, A. S. Popel, A. Levchenko, Endothelial cells decode VEGF-mediated Ca2+ signaling patterns to produce distinct functional responses. Sci. Signal. 9, ra20 (2016).

英文原文をご覧になりたい方はScience Signaling オリジナルサイトをご覧下さい

英語原文を見る

2016年2月23日号

Editor's Choice

転写
lncRNAは遺伝子発現も促進する

Research Article

内皮細胞はVEGFによるCa2+シグナル伝達パターンを解読し異なる機能応答を生じる

トレハロースは溶質輸送体2A(SLC2A)タンパク質の阻害によりオートファジーを誘導し脂肪肝を防ぐ

ヘテロ三量体Gタンパク質サブユニットGαi-GTPおよびGβγによる好中球の極性と遊走の動的調節

最新のResearch Article記事

2024年4月9日号

前立腺がんにおいて脂質合成を阻害するとDNA損傷が誘導され、PARP阻害がもたらす細胞死が増加する

A型インフルエンザウイルス感染中にMiz1がI型インターフェロンの産生を抑制してウイルス除去を制限する

2024年4月2日号

フェリチンの重サブユニットは肝星細胞でICAM-1を介してNLRP3インフラマソームを刺激し、肝臓の炎症を促進する

2024年3月26日号

ミクログリア内のグルコシルセラミドの蓄積がマウスにおいてSTING依存性の神経炎症と神経変性を引き起こす

2024年3月19日号

運動によって誘導されるBDNFは運動後回復期に骨格筋脂質代謝のPPARδ依存性リプログラミングを促進する