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骨髄細胞においてGPCRと受容体チロシンキナーゼからの同時シグナルはPI3Kβによって特異的に伝達される

Coincident signals from GPCRs and receptor tyrosine kinases are uniquely transduced by PI3Kβ in myeloid cells

Research Article

Sci. Signal. 16 Aug 2016:
Vol. 9, Issue 441, pp. ra82
DOI: 10.1126/scisignal.aae0453

Daniel M. Houslay1,*, Karen E. Anderson1,*, Tamara Chessa1,*, Suhasini Kulkarni1, Ralph Fritsch2, Julian Downward3, Jonathan M. Backer4, Len R. Stephens1,†,‡, and Phillip T. Hawkins1,†,‡

1 Inositide Laboratory, Babraham Institute, Babraham Research Campus, Babraham, Cambridge CB223AT, UK.
2 Department of Hematology and Oncology, Freiburg University Medical Centre, Albert-Ludwigs-Universität, Freiburg, Hugstetter Str. 55 79106, Germany.
3 Signal Transduction Laboratory, Francis Crick Institute, Lincoln's Inn Fields, London WC2A 3LY, UK.
4 Department of Molecular Pharmacology, Albert Einstein College of Medicine, Forchheimer 230, Bronx, NY 10461, USA.

‡ Corresponding author. Email: phillip.hawkins@babraham.ac.uk (P.T.H.); len.stephens@babraham.ac.uk (L.R.S.)

* These authors contributed equally to this work.

† These authors contributed equally to this work.

要約

クラスIホスホイノシチド3-キナーゼ(PI3K)は、脂質メッセンジャーであるホスファチジルイノシトール3,4,5-三リン酸(PIP3)の産生を触媒する。PIP3は、細胞の増殖、生存、運動を調節する複雑なシグナル伝達ネットワークに中心的役割を果たす。がんや炎症においてはこのネットワークが過剰活性化されており、異なる治療状況において標的とすべきPI3K触媒サブユニット(p110α、p110β、p110γ、p110δ)を決定することに、関心が寄せられている。これまでの研究では、p110βへの特異的な調節入力として、Gβγサブユニット、Rac、Rab5との直接相互作用などが明らかにされている。われわれは、Gβγとの相互作用を選択的に阻害するp110βのノックイン変異を有するマウスを作製し、初代培養マクロファージおよび好中球において、受容体チロシンキナーゼ(RTK)およびGタンパク質(ヘテロ三量体グアニンヌクレオチド結合タンパク質)共役受容体(GPCR)応答のPI3Kアイソフォーム依存性への、p110βの関与を検討した。マクロファージコロニー刺激因子(M-CSF)と補体タンパク質C5aによるマクロファージの同時活性化に応答して、相乗的なPIP3産生を後押しする、p110βの特異的な役割を発見した。その一方、M-CSF単独活性化においては下流でのp110α、p110β、p110δの部分的に重複した役割を見出し、C5a単独活性化においては下流でのp110γの重複しない役割を見出した。p110βのこの役割は、Gβγとの直接相互作用に完全に依存していたことから、p110βは、RTKによる同時活性化の状況下で、GPCRシグナルを伝達することが示唆された。p110β -Gβγ間相互作用は、好中球が、免疫複合体のFcγ受容体依存性認識に応答して活性酸素種を生成するために、また、β2インテグリンを介してフィブリノーゲンまたはpoly-RGD+に接着するためにも必要とされ、ヘテロ三量体Gタンパク質がこれら2つの応答に直接関与することが示された。

Citation: D. M. Houslay, K. E. Anderson, T. Chessa, S. Kulkarni, R. Fritsch, J. Downward, J. M. Backer, L. R. Stephens, P. T. Hawkins, Coincident signals from GPCRs and receptor tyrosine kinases are uniquely transduced by PI3Kβ in myeloid cells. Sci. Signal. 9, ra82 (2016).

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