• ホーム
  • RasGRP1は線条体におけるRhes相互作用ネットワーク「Rhesアクトーム」を介してアンフェタミン誘導性運動行動を促進する

RasGRP1は線条体におけるRhes相互作用ネットワーク「Rhesアクトーム」を介してアンフェタミン誘導性運動行動を促進する

RasGRP1 promotes amphetamine-induced motor behavior through a Rhes interaction network (“Rhesactome”) in the striatum

Research Article

Sci. Signal. 15 Nov 2016:
Vol. 9, Issue 454, pp. ra111
DOI: 10.1126/scisignal.aaf6670

Neelam Shahani1, Supriya Swarnkar1, Vincenzo Giovinazzo2, Jenny Morgenweck3, Laura M. Bohn3,Catherina Scharager-Tapia4, Bruce Pascal5, Pablo Martinez-Acedo4, Kshitij Khare6, and Srinivasa Subramaniam1,*

1 Department of Neuroscience, The Scripps Research Institute, Jupiter, FL 33458, USA.
2 Harriet L. Wilkes Honors College, Florida Atlantic University, Jupiter, FL 33458, USA.
3 Department of Molecular Therapeutics, The Scripps Research Institute, Jupiter, FL 33458, USA.
4 Proteomics Core, The Scripps Research Institute, Jupiter, FL 33458, USA.
5 Informatics Core, The Scripps Research Institute, Jupiter, FL 33458, USA.
6 Department of Statistics, University of Florida, Gainesville, FL 32611, USA.

* Corresponding author. Email: ssubrama@scripps.edu

要約

脳の線条体は、運動機能を調和させる。ドーパミン関連薬物は、ハンチントン病(HD)やパーキンソン病(PD)などの線条体神経変性患者に対して治療的であり得るが、これらの薬物はまた望ましくない副作用をもつ。ナルコレプシーおよび注意欠陥/多動性障害(ADHD)に用いられるアンフェタミンは、ノルエピネフリンの放出を刺激することに加えて、線条体のドーパミン放出を誘発する。線条体に豊富なグアノシントリホスファターゼRas相同体(Rhes)は、線条体におけるドーパミン作動性シグナル伝達を阻害し、HDおよびL-ドーパ誘発性ジスキネジアに関与し、線条体運動制御に働く。われわれは、グアニンヌクレオチド交換因子RasGRP1が、マウスにおける線条体運動活性のRhesによる制御を阻害することを見出した。RasGRP1は、Rhesを安定化させ、線条体のシナプスへの蓄積を増加させた。Rhes部分欠損(Rhes+/)マウスは、アンフェタミンに応じた運動活性が増強されたが、この表現型はRasGRP1の同時欠損により減弱した。Rasgrp1の野生型あるいは部分または完全ノックアウトをもつRhesヘテロ接合体マウス由来の線条体可溶化液のプロテオーム分析により、多様なRhes相互作用タンパク質のセットである「Rhesアクトーム」を同定し、PDE2A(ホスホジエステラーゼ2A; 主要なうつ病疾患に関連するタンパク質)、LRRC7(ロイシンリッチリピート含有7; 双極性疾患およびADHDに関連するタンパク質)およびDLG2(ディスクスラージホモログ2; 慢性疼痛に関連するタンパク質)を含むアンフェタミン誘導性Rhesアクトームの組成にRasGRP1が影響することを示した。したがって、このRhesネットワークは、アンフェタミンの線条体作用についての洞察を与え、線条体機能障害に関連する様々な神経学的および心理的疾患を治療する手法の開発を助ける可能性がある。

Citation: N. Shahani, S. Swarnkar, V. Giovinazzo, J. Morgenweck, L. M. Bohn, C. Scharager-Tapia, B. Pascal, P. Martinez-Acedo, K. Khare, S. Subramaniam, RasGRP1 promotes amphetamine-induced motor behavior through a Rhes interaction network ("Rhesactome") in the striatum. Sci. Signal. 9, ra111 (2016).

英文原文をご覧になりたい方はScience Signaling オリジナルサイトをご覧下さい

英語原文を見る

2016年11月15日号

Editor's Choice

あるtRNA合成酵素がMAVSを保護する

Editorial Guides

特集:神経疾患治療の新たな展望

Research Article

独特の型のGSK-3阻害剤が臨床に新たな機会をもたらす

RasGRP1は線条体におけるRhes相互作用ネットワーク「Rhesアクトーム」を介してアンフェタミン誘導性運動行動を促進する

最新のResearch Article記事

2024年4月9日号

前立腺がんにおいて脂質合成を阻害するとDNA損傷が誘導され、PARP阻害がもたらす細胞死が増加する

A型インフルエンザウイルス感染中にMiz1がI型インターフェロンの産生を抑制してウイルス除去を制限する

2024年4月2日号

フェリチンの重サブユニットは肝星細胞でICAM-1を介してNLRP3インフラマソームを刺激し、肝臓の炎症を促進する

2024年3月26日号

ミクログリア内のグルコシルセラミドの蓄積がマウスにおいてSTING依存性の神経炎症と神経変性を引き起こす

2024年3月19日号

運動によって誘導されるBDNFは運動後回復期に骨格筋脂質代謝のPPARδ依存性リプログラミングを促進する