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ヒストン脱ユビキチン化酵素OTLD1はユークロマチンを標的として植物の成長を調節する
The histone deubiquitinase OTLD1 targets euchromatin to regulate plant growth
Sci. Signal. 20 Dec 2016:
Vol. 9, Issue 459, pp. ra125
DOI: 10.1126/scisignal.aaf6767
Ido Keren* and Vitaly Citovsky
Department of Biochemistry and Cell Biology, State University of New York, Stony Brook, NY 11794-5215, USA.
* Corresponding author. Email: ido.keren@stonybrook.edu
要約
ヒストンのモノユビキチン化は、活性クロマチンと関連があり、植物の遺伝子発現のエピジェネティック調節において重要な役割を果たす。脱ユビキチン化酵素はヒストンからユビキチン基を除去し、それによって遺伝子抑制に寄与する。シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)のゲノムには50の脱ユビキチン化酵素がコードされているが、ヒストンを標的とすることが知られているのはそのうちの2つ、USP/UBP(ubiquitin-specific protease and ubiquitin-binding protein、ユビキチン特異的プロテアーゼとユビキチン結合タンパク質)脱ユビキチン化ファミリーに属するUBP26とOUT(ovarian tumor protease、卵巣腫瘍プロテアーゼ)脱ユビキチン化ファミリーに属するOTLD1のみである。しかも、機能的役割が詳細に特徴付けられている植物ヒストン脱ユビキチン酵素はUBP26のみである。われわれは、OTLD1の機能獲得型アレルと機能欠損型アレルを用いて、植物の生活環におけるOTLD1の役割を調べ、OTLD1が植物の成長を刺激し、細胞サイズを拡大させ、植物器官の成長と発達を調節する5つの主要な調節因子(GA20OX、WUS、OSR2、ARL、ABI5)の転写抑制を誘導することを示した。OTLD1は、これらの標的遺伝子それぞれの上でクロマチンと会合し、ユークロマチンヒストンのアセチル化標識、ユビキチン化標識、メチル化標識の除去を促進した。このように今回のデータは、OTLD1が、植物の成長を共同で制限する一連の遺伝子のエピジェネティック調節を協奏的に促進することを示している。
Citation: I. Keren, V. Citovsky, The histone deubiquitinase OTLD1 targets euchromatin to regulate plant growth. Sci. Signal. 9, ra125 (2016).