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マクロファージのプロスタグランジンE2–EP2–NF-κBシグナル伝達が脳動脈瘤の治療標的候補となる

Prostaglandin E2–EP2–NF-κB signaling in macrophages as a potential therapeutic target for intracranial aneurysms

Research Article

Sci. Signal. 07 Feb 2017:
Vol. 10, Issue 465,
DOI: 10.1126/scisignal.aah6037

Tomohiro Aoki青木 友浩1,2, Juhana Frösen3,4,5, Miyuki Fukuda1, Kana Bando6,7, Go Shioi7, Keiichi Tsuji8, Eliisa Ollikainen3, Kazuhiko Nozaki8, Johanna Laakkonen9, and Shuh Narumiya1,2,*

1 Center for Innovation in Immunoregulation Technology and Therapeutics, Kyoto University Graduate School of Medicine, Kyoto 606-8501, Japan.
2 Core Research for Evolutional Science and Technology, Medical Innovation Center, Kyoto University Graduate School of Medicine, Kyoto 606-8507, Japan.
3 Neurosurgery Research Group, Biomedicum Helsinki, Helsinki 00029 HUS, Finland.
4 Hemorrhagic Brain Pathology Research Group, NeuroCenter, Kuopio University Hospital, Kuopio 70029 KYS, Finland.
5 Department of Neurosurgery, NeuroCenter, Kuopio University Hospital, Kuopio 70029 KYS, Finland.
6 Animal Resource Development Unit, RIKEN Center for Life Science Technologies, Hyogo 650-0047, Japan.
7 Genetic Engineering Team, RIKEN Center for Life Science Technologies, Hyogo 650-0047, Japan.
8 Department of Neurosurgery, Shiga University of Medical Science, Shiga 520-2192, Japan.
9 Department of Molecular Medicine, A.I. Virtanen Institute, University of Eastern Finland, Kuopio 70211, Finland.

* Corresponding author. Email: snaru@mfour.med.kyoto-u.ac.jp

要約
脳動脈瘤はよくみられるが、通常は未治療であり、破裂してくも膜下出血を引き起こすおそれがある。くも膜下出血は予後不良を伴うため、脳動脈瘤の進行を予防することがきわめて重要である。脳動脈瘤は、単球走化性タンパク質-1(MCP-1)により誘発されるマクロファージ浸潤、転写因子である核内因子κB(NF-κB)により仲介されるマクロファージ活性化、プロスタグランジンE2(PGE2)およびプロスタグランジンE受容体サブタイプ2(EP2)が関与する炎症性シグナル伝達に起因する、動脈壁の慢性的な炎症によって生じる。われわれはヒト脳動脈瘤病変において、EP2およびシクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)と、マクロファージ浸潤との関連を検討した。マウスにおいて、脳動脈瘤発生時のNF-κB活性化の時空間的パターンを観察したところ、NF-κBは最初に外膜と内皮細胞のマクロファージにおいて活性化され、続いて動脈壁全体で活性化されることが示された。Ptger2(EP2をコードする)をマクロファージ特異的に欠失したマウス、または、NF-κB活性化を制限するIκBα変異体をマクロファージ特異的に発現したマウスにおいては、マクロファージ浸潤とNF-κB活性化が抑制され、脳動脈瘤が少なかった。培養細胞において、EP2シグナル伝達は腫瘍壊死因子-α(TNF-α)と協調してNF-κBを活性化させ、Ptgs2(COX-2をコードする)などの炎症促進遺伝子の発現を相乗的に誘導した。EP2シグナル伝達は、RNA安定化タンパク質HuRを活性化させることによって、Ccl2(MCP-1をコードする)も安定化させた。EP2アンタゴニストを投与されたラットでは、マクロファージの浸潤と脳動脈瘤の形成および進行が抑制された。マクロファージのこのシグナル伝達経路は、上述のように、頭蓋内動脈の炎症を増幅することによって、脳動脈瘤の発生を促進する。これらの結果は、したがって、EP2アンタゴニストが手術に代わる治療法となる可能性があることを示している。

Citation: T. Aoki, J. Frösen, M. Fukuda, K. Bando, G. Shioi, K. Tsuji, E. Ollikainen, K. Nozaki, J. Laakkonen, S. Narumiya, Prostaglandin E2–EP2–NF-κB signaling in macrophages as a potential therapeutic target for intracranial aneurysms. Sci. Signal. 10, eaah6037 (2017).

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