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キナーゼTPL2がERKとp38のシグナル伝達を活性化し、好中球性炎症を促進する

The kinase TPL2 activates ERK and p38 signaling to promote neutrophilic inflammation

Research Article

Sci. Signal. 18 Apr 2017:
Vol. 10, Issue 475, eaah4273
DOI: 10.1126/scisignal.aah4273

Kate Senger, Victoria C. Pham, Eugene Varfolomeev, Jason A. Hackney, Cesar A. Corzo, Jenna Collier, Vivian W. C. Lau, Zhiyu Huang, Kajal Hamidzhadeh, Patrick Caplazi, Ivan Peng, A. Francesca Setiadi, Ross Francis, Andres Paler-Martinez, Youngsu C. Kwon, Vladimir Ramirez-Carrozzi, Yonglian Sun, Patricia W. Grigg, Merone Roose-Girma, Surinder Jeet, Kai H. Barck, Anna Pham, Naruhisa Ota, Connie Ha, Jeremy Stinson, Joseph Guillory, Lucinda Tam, Zora Modrusan, Claire Emson, Brent S. McKenzie, Michael J. Townsend, Richard A. D. Carano, Søren Warming, Domagoj Vucic, Jason DeVoss, Wyne P. Lee, Jennie R. Lill, and Ali A. Zarrin*

Genentech Research, Genentech Inc., 1 DNA Way, South San Francisco, CA 94080, USA.

* Corresponding author. Email: zarrin.ali@gene.com

要約

腫瘍進行遺伝子座2(TPL2、別名MAP3K8)は、インターロイキン-1受容体(IL-1R)、Toll様受容体(TLR)または腫瘍壊死因子受容体(TNFR)を介して刺激されたマクロファージにおいて、マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)キナーゼであるMEK1およびMEK2(MEK1/2)をリン酸化し、ひいてはMAPK細胞外シグナル制御キナーゼ1(ERK1)およびERK2(ERK1/2)を活性化するMAPKキナーゼキナーゼ(MAP3K)である。われわれは、p38 MAPKシグナル伝達経路の活性化を通じた好中球のエフェクター機能の媒介という点で、TPL2が保存された重要な役割を果たしていることを記述する。好中球と単球の遺伝子発現のプロファイリングおよび機能研究から、好中球のTPL2の下流にMEK1/2非依存性の分岐点があることを明らかにした。生化学的解析から、これらの細胞のTPL2の下流エフェクターとして、MAPKキナーゼであるMEK3およびMEK6が、さらにMAPKであるp38αおよびp38δが同定された。In vitro試験のほかげっ歯類の炎症性疾患モデルにおいても、TPL2の触媒活性の遺伝子除去またはTPL2特異的阻害薬による治療的介入により、TLR4アゴニストであるリポ多糖体(LPS)の刺激に応答した好中球からの炎症メディエーターの生成が減少した。まとめるとこれらのデータは、MEK1/2依存性シグナル伝達のみならずMEK3/6依存性シグナル伝達も活性化して炎症反応を促進するTPL2は、1つの薬物標的であることを示唆している。

Citation: K. Senger, V. C. Pham, E. Varfolomeev, J. A. Hackney, C. A. Corzo, J. Collier, V. W. C. Lau, Z. Huang, K. Hamidzhadeh, P. Caplazi, I. Peng, A. F. Setiadi, R. Francis, A. Paler-Martinez, Y. C. Kwon, V. Ramirez-Carrozzi, Y. Sun, P. W. Grigg, M. Roose-Girma, S. Jeet, K. H. Barck, A. Pham, N. Ota, C. Ha, J. Stinson, J. Guillory, L. Tam, Z. Modrusan, C. Emson, B. S. McKenzie, M. J. Townsend, R. A. D. Carano, S. Warming, D. Vucic, J. DeVoss, W. P. Lee, J. R. Lill, A. A. Zarrin, The kinase TPL2 activates ERK and p38 signaling to promote neutrophilic inflammation. Sci. Signal. 10, eaah4273 (2017).

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