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小胞体ストレス応答の細胞間伝播ががん細胞の生存と薬剤耐性を促進する

Intercellular transmission of the unfolded protein response promotes survival and drug resistance in cancer cells

Research Article

Sci. Signal. 06 Jun 2017:
Vol. 10, Issue 482, eaah7177
DOI: 10.1126/scisignal.aah7177

Jeffrey J. Rodvold1, Kevin T. Chiu1, Nobuhiko Hiramatsu2, Julia K. Nussbacher3, Valentina Galimberti1, Navin R. Mahadevan1, Karl Willert3, Jonathan H. Lin2, and Maurizio Zanetti1,*

1 Laboratory of Immunology, Department of Medicine and Moores Cancer Center, University of California at San Diego, La Jolla, CA 92093, USA.
2 Department of Pathology, University of California at San Diego, La Jolla, CA 92093, USA.
3 Department of Cellular and Molecular Medicine, University of California at San Diego, La Jolla, CA 92093, USA.

* Corresponding author. Email: mzanetti@ucsd.edu

要約
小胞体(ER)ストレスは、細胞内でのタンパク質翻訳量の増加や腫瘍微小環境の多様な因子によって誘導され、小胞体ストレス応答(UPR)を開始させる。われわれは以前、培養下およびin vivoでの腫瘍増殖において、UPRを示しているがん細胞から放出された因子が骨髄由来の骨髄系細胞、マクロファージ、樹状細胞でUPRを新たに誘発し、腫瘍形成促進性の特徴を助長することを報告した。われわれは、この細胞間シグナル伝達を伝播性ERストレス(TERS)と名付け、TERSががん細胞間でも作用するかどうかと、腫瘍内におけるTERSの機能上の意義について調べた。そして、TERSシグナル伝達によって、レシピエントヒト前立腺がん細胞でシャペロンGRP78の細胞表面発現などのUPRが誘導されることを見出した。また、TERSはレシピエントがん細胞においてWntシグナル伝達を活性化し、栄養飢餓に対する耐性とプロテアソーム阻害薬ボルテゾミブや微小管重合阻害薬パクリタキセルなどの一般的な化学療法に対する抵抗性を高めた。TERSに誘導されるWntシグナル伝達の活性化には、UPRキナーゼでありエンドヌクレアーゼでもあるIRE1が必要であった。しかし、TERSに誘導される細胞生存の亢進は、主にUPRキナーゼPERKによって媒介されており、転写因子ATF4量の減少によって、転写因子CHOPの活性化、ひいてはアポトーシスの誘導が阻害された。TERSで刺激したがん細胞をマウスに移植すると、溶媒で刺激したがん細胞に比べて腫瘍の増殖が速かった。まとめると、今回のデータは、TERSが一種の細胞内コミュニケーション機構であり、腫瘍細胞はこの機構を介してストレスの多い環境に適応していることを示している。

Citation: J. J. Rodvold, K. T. Chiu, N. Hiramatsu, J. K. Nussbacher, V. Galimberti, N. R. Mahadevan, K. Willert, J. H. Lin, M. Zanetti, Intercellular transmission of the unfolded protein response promotes survival and drug resistance in cancer cells. Sci. Signal. 10, eaah7177 (2017).

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